魔性の女と色男
若狭屋 真夏(九代目)
魔性の女と色男
魔性の女っていう生き物がこの世にはいるらしい。同じく色男って生き物がいる。両方共天がくださった美形と、思われる方が多いだろう。
しかし、実際に結婚詐欺師という人種を見てみると、とりたてて「不細工」ではないがとりたてて「美形」でもない。普通の人間である。
今年はベッキーの不倫から立て続けに不倫騒動なるものが連発したが、あれはやはり「色男」のすることではないね。
では色男ってのは具体的に誰なんだって話になる。
まあ。色男をあげるなら火野正平と赤塚不二夫かね。
二人とももちろん美形(赤塚先生は若いときはすごい美男子だった)なんだけども、両人共「女を泣かせない」ってとこがまあすごい。
普通別れるときってのは「修羅場」といってまあ、すごいことになる。最後には「殺す、死ぬ」なんて言葉が飛び交い、下手すりゃ「包丁」が飛ぶ。
仲裁する方は関係ないのに包丁が飛び交う場所にいかなきゃいけねえから、「夫婦喧嘩は犬も食わない」っていうんだが。。。
この二人は違う。
火野正平ってのは若いときはやんちゃしてさ、まあ女遊びが仕事だった時代もあったもんだが、不思議と別れた女に「悪口」を言われることが無かったって言われてる。時には女の前で土下座なんてしてる。
赤塚不二夫先生は再婚した時、報道陣が取材に来た場所で前の奥さんを同席させたってんだから「異常」だね。
「母性本能」ってやつがそういう男にさせるのかねぇ。
まあそれが色男。
それと違って「魔性の女」って生き物はタチがわるい。
昔は「傾城」なんていって城が傾く、国を亡ぼす。なんていう。
楊貴妃なんてあげられるが、なかなかこれは厄介だ。
日本で傾城といえば「松の位の」太夫だね。
尾張藩主徳川宗春は太夫に自らの春の字を与えて「春日野」と名乗らせた。
俗に大名道具(女性蔑視はなはだしいが)と言われてた。
落語に「紺屋高尾」って話があるがあれは実話らしい。
紺屋の職人が3年給料をためて一目ぼれした「高尾太夫」に会いに行く。
太夫に「次はいつ来てくれるか?」って聞かれて
涙ながらに「3年後」といって自分は紺屋の職人で今日来たのは3年たばこも酒も我慢してためたお金で来た。というと太夫は涙をぽろぽろと流し、「ぬしのお嫁さんにしてくんなますか?」
という。で年季が明けた太夫が籠で訪れて夫婦になる。ってはなしなんだけど。
まあここまで来てわかったことがある。
男という生き物は女をうまく扱うことが出来ない。ゆえに失敗をする。
大名になればそれこそ「傾城」城を傾けることになる。
だから美人には「魔性」だの「傾城」だの悪い言葉が残ったんじゃないか?
昔は男社会だからなおの事。
それにくらべて男という生き物は馬鹿だから、お釈迦様の手の上で飛び回ってる孫悟空みたいなもので。比べようったって比べようがない。
男は女の掌の上で遊んでる。
まあ、男と女不思議なものを神様作ってくださいましたよ。
魔性の女と色男 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya
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