錆びた夏に色を。

@TUBOMIDORI

プロローグ:空と喜びを君に

 ――ああ、空を見上げたのなんていつぶりだろう。



 白く立ち上る入道雲に澄んだ青空。

どことなくその空は君の澄んだ瞳によく似ている。

正面には空を囲むようにして深い緑に染まった山々が並ぶ。

そしてまた上を見上げ、目を閉じて深呼吸をする。

 それと同時に風が吹き、セーラー服のスカートが揺らめいた。




 今年もまた、夏がやってくる。




 私は少しの間喜びを噛み締めるように眩しい空を見上げ、

流れる汗を肩で拭って錆びた自転車のペダルを踏んだ。

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