第181話:傑作すぎる、続編。②
「
「
凜が飛び出す。凜は車両の壁、天井に残像を残しながら猛然と進む。残像に見えるのは「
凜は自分が跳弾のように、そしてビリーの放つ弾丸を避けながら進み、斬りつける。ビリーは右手の銃で斬撃を受けると至近距離から左手の銃を放つ。
凜は後退すると再び同じ方法で斬撃を繰り返した。
「しゃらくせえ。」
ビリーは今度は銃を交差させ斬撃を受けきると再び銃を放つが、今度は跳弾を巧みにあやつる。それは凜の脇腹を捉え、ダメージの判定がついた。
「どうだ。鉛の弾の味はよ?」
ビリーが車両の入り口まで後退した凜に勝ち誇ったように聞く。
「今の弾丸には鉛は含まれていませんよ。」
凜は涼し気な表情を変えずに答える。とはいえ、これ以上時間を引き延ばすのはビリーの戦闘能力を考えると危険であった。何しろ彼が「前世」で死んだのが21歳。まだまだ伸び代がある時だったのだ。それから2年、彼も研鑽を積んでいるのだ。
「今の
得意げに説明するビリーに凜は苦笑をこらえて答える。
「『名画』の続編が傑作とは限りませんよ。」
凜はもう一度「
「お前の動きは見切ったよ。嘘だと思ったら、さあ、かかってこい。」
ビリーが挑発する。凜がにやりとした。
凜が再び前進を始めた。
(気に食わねえ)
ビリーが見切った動きに銃弾を撃ち込むがことごとく外される。
(速ええ。)
あっという間にビリーは凜に懐に入り込まれて斬撃を防御しようと右手を挙げた瞬間、凜の姿が消える。
左手の銃のトリガーを引いた瞬間、その見切ったはずの場所に凜はいなかった。
「なに?」
その時、終了のブザーがなる。ビリーが振り返ると、凜の手にフラッグが握られていた。キーパーとがっちり防御していたはずの見方が切り伏せられていたのだ。
「てめえ、だましやがったなあ?コールと違う
ビリーの顔が怒りで真っ赤に染まる。凜は澄ました顔で答えた。
「『
凜は転移方式を通常の「空間入れ替え」から「量子ワープ」へと切り替えたのだ。ビリーには攻撃が自分に向かって来るものと思わせ、ビリーを躱して彼の背後にいたキーパーを襲ったのだ。
鍛えているとはいえ常人に、凜の突然の攻撃しかも見たこともないような高速の攻撃に対応できるはずもなかったのだ。
次の「
「凜⋯⋯。この国の民は迫りくる大災害は怖くはないのだろうか?」
試合が終わり、
手に応援グッズを持ったり、興奮して試合のことを話しながら、まるで大災害が迫っていることに無頓着であるかのように見える。凜は困ったように笑う。
「さあ。確かに漠然とした不安はあるだろうけど、実際はどうしていいかわからないんだけなんだと思うよ。だって彼らのほとんどは惑星から出たことすらないからね。⋯⋯だから、僕らは戦ってみせるのさ。決して背中を見せない、頼れるリーダーであることを示すためにね。」
「よお、ベッピンさん。何しに来たよ?」
バーで一人、黄昏ながら飲むビリーの隣にルイが座った。
結局、ビリーは凜とは2戦して2敗に終わったことになる。つまり報酬の条件にはかなわなかったことになる。
「まさか、ここでズドン、というわけではないだろうな?」
ビリーの「前世」は闇討ちで幕を閉じたのだ。彼を殺したのは保安官であった。一瞬、それが頭をよぎったのだろうか。
ルイは問いには答えずに飲み物を
「
ルイの注文した物を聞いてにビリーは噴き出す。
「おい、いくらなんでもそれはないだろう?ここはカフェじゃないんだ。お前、まさか酒も飲まんのか?」
ルイはビリーの方を向くと、一度めんどくさそうにしかめ面をして顔にかかった髪をかきあげる。
「質問の多いやつだな。まず、キミを殺したりはしない。だいたい、キミを甦らさせるためにどれだけの
「ああ、そういえばまだ
ビリーはそう言ってバーボンをあおった。ルイは自分の前に置かれたグラスに少しだけ口をつける。
「そして、俺にとっての酒はワインしかない。そしてこんな店に、俺の口に会うワインがあるとは思えない。」
ルイは凜の
「あいつに勝てるのか?」
ビリーの問いにルイはにやりとした。
「少なくとも俺はそのつもりだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます