ここでしか

@kazumegumi

第1話

暗い森の中。ときどき鳴く動物の声。そんなところにいる俺たち。回りを見渡してみてもここにいるのはおかしい。さっきまでエレベーターホールにいたのだから。しばらくぼうぜんとしたあと、俺たちは自宅にいたときのことを思い出していた。


突然「今日から家族で旅行にいくぞ。」と父親がいった。その瞬間姉弟全員で、「ふざけんなよ。」 とぴったりそろっていった。事前になにもいってなかったので怒るのもしょうがない。だが親たちが事前に知らせないのもわからなくはない。家族旅行のことをしっていれば姉弟の誰かしら、旅行からにげていたにちがいない。家族旅行といったら、普通の家庭では家族全員で行くだろう。なのにこの家では一度たりとも全員でどこかにいった記憶がない。だからかは知らないが、この姉弟の仲の悪さは日本一と近隣の人に言われるようにもなった。姉弟は双子が二組という、めったにいない姉弟。一番上の姉は亜矢(あや)。中学二年のヤンキーのボス、東京のヤンキーといえばすぐ名前があがるほど。長男は龍矢。双子の姉とは正反対の優等生。成績はオール5。よく勉強を教えたりしている。次男は龍介。中学一年のいじめられっ子。やられてもやり返さないからいつもいじめられてる。三男は龍之介。病弱でよく風邪をひく。二ヶ月に一回は必ず学校を休んでいる。そんな共通点がまったくなく、みたかんじも姉弟にも双子にも見えないやつらが、仲がいいわけがない。そんな奴らが家族旅行に参加するのをことわろうとした。だが、親がキャンセル料払うのか?というとしぶしぶ準備を始めた。何分かたち全員準備がおわるともうすこしでおわるから、姉弟全員先にいってと母親に言われた。家は12階建てのマンションで俺たちは11階に住んでいる。エレベーターホールにでると四人だけになった。エレベーターを待っている間誰一人喋らなかった。それが朝早いためか、仲が悪いためかはわからない。エレベーターがきて乗ると一階のボタンを押した。扉がしまりどんどんしたに降りていく。そろそろついたかと思い階数表示を見ると0階と表示されていた。それに気づいた亜矢はボタンを押した龍介を殴った。「お前どのボタンを押したんだよ」といったあと階数表示を指差した。それにつられて、弟達がみるとこんどは表示がでていなかった。さっきは0の表示がでていたからまだ龍介のしわざにおもえたが表示が出てないと別だ。あわてた龍矢は非常ボタンを押した。だがエレベーターはどんどんさがっている。止まったと思った瞬間意識がとんでいた。


さっきまでのことを思い出していると少しおちついてきた。姉弟全員がいることを確認したあと亜矢が龍介のもとへ歩いていった。「なぁ、お前がやったのか?」龍介は姉が怖くていつもはなにも話さない。その癖がでたのかいつもどうり何もいわなかった。それが頭にきたのか「お前がやったのかって聞いてんだよ」といって殴りかかろうとしていた。それを今までみていた龍之介が「龍介お兄ちゃんはやってないよ」と半泣きの顔でいってきた。その顔を見て冷静になったのか今度は龍矢に「何かわかったのか」と聞いた。龍矢はしばし目を閉じこういった。「荷物の中見た?携帯がなくなってる。それにゲーム機を持ってきたのにない。多分機械類全部なくなってると思う。今はそれしかわからない。情報が少ないからね」それを聞くといっせいにリュックのなかをみた。洋服などは父親がもつトランクにいれた。リュックの中は朝御飯や充電器と携帯をいれていた。なのに食べ物いがい全部なくなっている。誰一人機器類を持っていなかった。「これからどうするの」と龍之介がいったそのとき、近くの茂みが、かざごそと音をたてた。一斉に振り向くと革の袋らしきものを担ぎ上げ腰には剣をさげた男が出てきた。その瞬間、亜矢は弟達の前に出ていた。じぶんでもよくわからないが体が勝手に動いていた。しばらく睨みあっていたが男が「お前らが同族殺しの山賊か?」と聞いてきた。亜矢が警戒をとかずに違うと言おうとしたとき、男が殴りかかってきた。不意討ちにたいしギリギリながらもかわし殴りかかった。男はかすりながらもよけ後ろに下がり剣をぬいた。そして「後ろのやつらがどうなってもいいのか?」その言葉に後ろを向くと弟達が顔を隠した奴らに捕まっていた。駆け寄ろうとしたら「動くと殺すぞ」と剣を弟達の首筋にあてていた。どうしようもなくとまったあと首筋に鈍い痛みのあと龍之介の叫び声をききながら気絶した。

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