弐の刻
突然倒れた
その男はくたびれたスーツを着たこの学校の国語教師の
中年男性ではあるが、まあまあがっしりした身体に長身。
顔は、悪くもないがさりとて良くもない。 最低限の身だしなみは整えてはいるがどこかだらしない。 それゆえにむしろ悪いほうに女子の印象が傾く男だった。
そして密かにその事で悩んでもいたのだが。
「おおすまんな。 こっちも立て込んでいてな」
そう言って
「先生、そっちも?」
関係している休日出勤の教師は皆、駆り出されたのだ。
「まさかこっちも出現するとはな」
出るとすれば、前回の封印戦があった場所近くのはずなのだが。
今回はイレギュラーが多すぎる。
知り合いからの口添えで転校してきた少女。
「とりあえず保健室いくぞ」
そう言って二人を連れていく。
日曜日の保健室は当然だが保険医はいない。
そしてベッドに
「それで? なにがあった?」
二人は一瞬目線を合わすと、それだけで意思疎通が完了したのか
「なるほど」
話しを聞き終えた
「ともかくご苦労だったな。 こっちはもういいぞ、持ち場に戻ってくれ」
「先生、そんなこと言ってこの子に変なことするつもりじゃ……」
教え子からの疑いの視線に
「するかっ!? 第一そんな事をしたら
「
「
遅れて
「いやなんでも……調べればわかる事か。 そうだ、その
口を滑らしてしまったと
「
その名前を聞いて
「
そこまで言ったとき寝かされていた
そして三人が見守る中、
ゆっくりと目が開き、寝かせる時に眼鏡を外していたためよく見えないのか少し目を細める。
その時
ほんの些細な違いだが、彼には何故かはっきりと分かった……ような気がした。
やがて三人に目線を合わせると慌ててベッドから跳ね起き、ようとして頭を抑え込み
「ちょっ!? 大丈夫?」
「あ、ご、ごめんなさい」
そう言って
「はい眼鏡」
そう言って
そして今度はゆっくりとベッドの上で身を起こし三人を見やる。
「あの、私一体?」
だが自分で言って思い出したのか、ブルリと身を震わせると辺りをせわしなく見渡した。
「もう大丈夫だ。 君は助かったんだ」
そう言われ、
「あの、あなたが助けてくれたんですか?」
「ええ、そうよ」
どうやらそこら辺は覚えているようだった。
「あ、ありがとうございました」
そこで、
「ねえ、顔色悪いけど大丈夫なの?」
「あ、へ、平気です。 ちょっと貧血ぎみなだけで……じゅけ、いえなんでもないです」
顔色の事を言われ
「よし、二人はもう戻った戻った! 後は俺が見てるから」
それを見ていた
そして保健室の扉が閉まるのをしばらく眺めていた
「俺は
そして顔色を確認すると勝手知ったるなんとやらと薬品が置いてある棚に近づくとゴソゴソし出した。
「えっ!? なんで学校にソレが?」
「ここはそういう所だと
「ああ……直接口に含むのか」
注射器も手渡そうとした
当の
「えっとありがとうございます。
「ああ、昔の教え子だ。
「いえなにも……」
ショボンとする
「秘密主義は相変わらずか……」
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