偽足と蛇牙は忌み子ですが世界救ってすみません。

@ionsousaku

第1話プロローグ

 昔々、この世界は一匹の大蛇(ファリア)と一人の巨人(ノイ)によって支えられていました。この世界を創るとき神様は巨人に優しい心、蛇に意地悪な心、そして、それに伴う武器を授けようと考えました。

まず、神様は自分の翼の片割れを切り落とし、剣(つるぎ)とし巨人の腰に携えました。

そして大蛇の牙に自らの血を塗り、力を与えました。

最後に神様は言いました『大蛇が下に巨人が上に、そして我が子を支えなさい。』と。


 神様が消えてから暫くして大蛇が巨人に言いました「神様が居なくなってから暫くたったけど、僕はずっと下に居て、子供達を見たことがないだろ、少しの間でいいから僕と変わってくれないかい?」と。優しい巨人は大蛇の頼みを断れませんでした。そして大蛇はそれを知っていました。

大蛇は巨人の体に巻き付くとするすると上に登っていきました。

大蛇は初めて世界を見ました、そして意地悪な心に何かがチクリと刺さりました。

『こいつらは平和に生きてる。争いなく平和に。僕たちの存在なんて全く知らないで…。そんなの可笑しい、僕たちの事を知らないこいつらは食べてしまおう、また一から創ろう。』


巨人が上の異常に気づいた時には、もう手遅れでした。神様から得た力を初めて奮った大蛇は、その力に陶酔し堕ちていきました…。

大蛇の力により炎に包まれた子供達を見た巨人は悲しみに暮れ、決めました。…『支えを失った世界が崩れても大蛇を止めなくては。』と。

巨人は腰の剣を引き抜くと、大地を砕き大蛇の元へ行きました。

大蛇と巨人の闘いは、激しさを増していきました。大蛇の『炎』と巨人の『風』は、お互いに力を呑み込みました。大蛇は巨人の脇腹に噛み付き、巨人は蛇の胴体を剣で貫きました。

巨人は永年の友に向けた初めての暴力を、嘆き、息をひきとりながら涙を流しました。

大蛇は巨人を確実に殺そうと、食い込ませた牙から毒を垂れ流しながら死にました。


涙と毒から新たに子供が産まれました、各々の子供は思いました『父の仇だ…。』と。

程なくして、再び闘いが起こりました。

憎しみの輪に取り込まれた子供たちは敵討ちしか頭にありませんでした。

しかし、そんな子供達を止めようとした、男女がいました。涙と毒の《交ざり子》です。

闘いを止めた男女は、英雄として崇められ、後世にまで名を語り継がれました、男の名は『カタリナ』女の名は『ヤナム』として。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

偽足と蛇牙は忌み子ですが世界救ってすみません。 @ionsousaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ