プロローグ(各話完結形式)

美しき選手たち


 キャッチャーミットに吸い込まれたのは、時速148キロの速球だった。


 今や、160キロを超える豪速球を投げる日本人もいる時代。

 160キロに比べれば、148キロは驚くような速さではない。

 

 ──だが。


 その148キロを投げたのが少女だったら?



 マウンドに立っているのは、リコという名の少女。

 

 彼女が大男のような体格だったなら、148キロというスピードにも、そこまで驚きはしないだろう。


 ところが、リコの腕は細くて肩は華奢。身長も160センチに満たない。

 筋骨隆々どころか、キュート系の美少女だ。


 148キロの速球を受けるのは、雫という名の少女。

 こちらも美しい少女である。



 このバッテリーの2人だけではない。


 内野手も外野手も、対戦相手のバッターも、全員が女性だ。

 ベンチにいるのも女性だけ。

 審判も女性だった。


 アイドルグループが野球をしているかのような、美人揃いである。



 ここは、女性選手のみが所属する独立リーグ。


 ただの女性ではない。

 彼女たちには、とある力が宿っていた。


 その力の名は──野球女子力。

 

 身体能力の向上や特殊スキルの発現などをもたらす不思議パワーであり、全女性の数%が生まれつき持っているものだ。



 野球の神様から与えられると言われる野球女子力は、なぜか処女にしか使えないのだった──。

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