主役は僕(ワタシ)

猫乃ティる

プロローグ

教室の扉を前にして深呼吸をする。

落ち着いたところで改めて自分の身なりを確認する。

髪が変にはねていないか、制服が変になっていないかなどを確認する。

しかし普段着ている制服とは違うのでどこが変なのかわからない。

とりあえずスカートが捲れ上がっていないことだけ確認しておく。

膝くらいまであるといっても油断すると見えてしまいそうで不安になる。

そんな確認をすると聞きなれた担任の声が聞こえてくる。

「それじゃ、転校生紹介するぞ」

いつの間にか私が教室に入るタイミングになっていたようで担任に手招きされる。

僕はもう一度深呼吸をして扉をくぐる。

私が教室に入った瞬間、視線が集まる。

(どこも変じゃないはず、どこも…)

そう自分に言い聞かせ担任の隣に立つ。

「お前らも知ってるだろうが…この前の事件を解決に導いたほどの実力の持ち主だ。これから共に学ぶ仲間だ、いろんなことを教えてもらえ。それじゃ、軽く自己紹介を」

そういわれて僕はクラスメイト達に改めて自己紹介をする。

「鹿島 瑞姫(かしま みずき)です。これからよろしくお願いします」

そういって頭を下げる。

しかしクラスは静かなまま。

「それじゃ、瑞姫の席はあそこだ。それじゃ、あとはお前たちに任せた」

そういって先生が出ていく。

その瞬間、先ほどまで静かだったクラスメイト達が一斉にこちらにやってくる。

「ねぇ、鹿島さんどこに住んでるの??」

「鹿島さん、彼氏はいるの?いないなら募集とかしてないの?」

「てかてか、俺を彼氏にしない?」

席に着く前に男女問わずもみくちゃにされる。

「待って、あとで答えるから…とりあえず席につかせて~」

これが私、いや僕の―涼風 瑞樹(すずかぜ みずき)の新しい学校生活の始まりだった。

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