大和撫子度をテスト 〜 料理編の結果

 俺もやってみました。さすがに、梅干しや懐石料理は作ったことないですね。

白菜の浅漬けくらいなら。


 ピザの土台から作る男の友人を5人知っています。そのうち二人は、料理のプロなので除外するのは当然としても、意外と料理が趣味の男っているものです。歯医者で、自分で蕎麦を打ったり、ピザを焼いたりする人とか。グルメが高じると、自分でやりたくなるのでしょう。海釣りする男は、当たり前ですが、魚も捌くし、寿司も握ります。自宅で大人数のパーティを開く人は、当然ながら、料理します。


 まだ読者からご指摘はないですが、だしの取り方などをテストに入れるべきでした。あさりの砂だしは、もう砂を吐かせたものが売っているらしいですね。環境の汚染が心配で、あまり貝は食べなくなりましたけど。魚の種類、3枚おろしの仕方など、そういう項目を入れるべきだったのか、と気づきました。


 住む地方により、食べる魚が違う、と習いました。そう言えば、季節の旬の野菜や果物、魚に関する古い本を読んだことがありますが、そういう昔なら当然であった知識は、個人商店の消失と、スーパーマーケットなどの普及で、消えていってるんでしょう。古い婦人雑誌ではそういうことを特集していたようで、ファッションの流行や旅行、軽薄な噂話や性情報が氾濫し放題の今の女性誌に比べると、学ぶことが多かったようです。


 俺も、大和撫子テストを作ってみて、魚がパックに入って、切り身で売っているのが普通という感覚だったんだ、と気付きました。魚をおろすという考え方をもちろん知ってますが、(鮭やアジは捌いたことがある。)テストに入れるのを忘れていたくらいですから、古き良き時代の知識は廃れる運命にあるようです。


 懐石料理で、とろろから作る海老しんじょうなどは難しい、と聞き、プロでも難しいのだから、簡易バージョンが流行るのだな、とネットで検索して思いました。本物の料理も、立ち消えていく運命ですね。


 俺が何故こういうエッセイを書こうと思い立ったのか。どんどん軽薄に流れていく時代の中で、例えば、停電になったり、大自然に着の身着のままで放り出されたりした時に、どれだけ生き残れる力と知識がある奴がいるのか。そういう考え方が基本となってます。


 俺の知ってる奴らは、被災した友人の家にバイクで握り飯をさっと届けてくるような男達なので、やはり、生活の便利さにあぐらをかき、何もできない、何も知らない、生活の基本能力がない奴はダメだ、と思うわけです。ライフラインが断たれたら、死ぬしかなくなりますから。


 電気や水道、食料の供給が止まっても、当面どうすればいいか、さっと思いついて実行できる、頭のいい賢明な女性じゃないと、家庭と子供を守れません。


 男が仕事に行っている間、やはり家庭の運営は、安心してしっかりした女性に任せたいです。でも、世の中の流れは、女性もフルタイムで働く、という方向にシフトしつつあり、それについて俺は、女性が家事というルーティーンに見える仕事について、その奥深さを知らないからじゃないか、と思ったりします。


 外で働いて、10年もすれば、正直どうすることもできない女性が出来上がる、と前述のお茶の先生は、おっしゃってましたが、そんなことはない、と俺も思うものの、確かに料理の腕前などは、作る時間が短い、手抜き料理ばかりになると、フルタイム勤務を選ぶ女性は、自然とそうならざるを得ない結果です。先進国の女性の料理レベルを見ると、実のところ、そのようです。普段は、冷凍食品や、買ってきた簡単なもの、調理の必要ないもので済ませてしまいます。


 女性がフルタイムで働いているので、家事や子育ても、男女が平等に分けています。そのことの弊害は先に書きましたが、日本に同じように導入しても、うまくいかないんじゃないか、と思うのは、まず男性の負担を減らすのが先だからです。でもそれよりも、公的な育児保育の制度を整えるのが、何より先です。


 ヨーロッパの先進国では、びっくりするくらい小さい赤ちゃんを預けて働かねばならない。その代わり、育児保育の制度は整っていて、預けて働いたほうが得だから、女性は働きます。でも正直、何のために働いているのかわからない状態にはなるようです。得ではあるけれど、それが当然と思ってはいるけれど、俺の目から見たら、”赤ちゃん”を割り切って手放さないと、できないことです。だから裕福な家庭の子女であれば、専業主婦になる可能性も高いと思います。


 女性が外でフルタイム勤務で働く弊害は離婚率の上昇だけではないので、また細かく見ていきたいと思いますが、日本に合う形で制度を整えるには、法律以外に日本人のメンタリティを変えないといけません。


 日本人のメンタリティが、如実にあらわれているのは、家の中の整理整頓についてですが、専業主婦がいるにもかかわらず、日本人の家の中は、外国人が引いてしまうぐらい物に溢れています。海外のお宅に招待されたことのある人なら、その違いに驚くはずです。


 その違いは、日本は物価が安く、すぐに便利グッズのような中途半端な用途のものを買い込む生活様式にあり、四季折々、季節の変化に合わせて、取り替えねばならない膨大な量の洋服も原因です。日本のように衣服の流行が激しい国も稀です。


また日本人は、”便利さ”にひどくこだわりがあり、”便利”にするため、”痒いところに手を届かせる”ために、余計に複雑な道具や工程を発明しがちです。


 まるでホテルのように片付いた素敵な家に、シンプルに住む人達を見ていると、無駄なものを買ってはいけない、と思います。日本人は、何か埋まらないものを物を買うことで埋めている。それは、忙しすぎる夫に構ってもらえないストレスや寂しさもあるかもしれません。ちょっとした”物”を購入することは楽しみで、何より安い。そのために女性が働きに出たいとするなら、埋まらない隙間を”物”で埋めようとしているように見えます。


 何も余分な物が置いてない状態には、満足できない日本人を見ていると、”断捨離”という言葉が流行りましたが、買って捨てるのでなく、欲しくならない精神性を取り戻した方がいいと思います。日本人はもともと、農耕民族ですから、畑の労働と引き換えに、”欲しい物”を手に入れた。そのDNAに染み付いた”物があまりない家は貧乏”という感覚が、やたらとどうでもいい安い物を買い込む消費行動に繋がっている気がします。


 そしてそれは日本にいる限り、気付くことができない病のようなもの。”買いたい”という欲望想起の際は、”自分が精神的に満たされていないから、欲しくなるのでは?”と、気づいて欲しい。安いから何も考えず買ってきたんでしょうが、もはや、日本人のこの考え方は、世界の本流から外れています。


 ”経済を回すために購買行動を促す”、その大義名分も、すでに石化しています。


 すぐに不要になるような、要らない物を買い込む消費行動は、エコロジーの観点からと精神病理という意味で、”無知”、”環境を考えてないエゴイスティックな行動”、”物質主義者マテリアリスト”、”拝金主義”と、軽蔑の対象です。


 その中で、なぜ女性の社会進出を進めるのか、賢明な読者なら、全体の労働負担を減らす方向に社会を動かすべきで、ただ単に女性の労働負担を増やすべきでないことにお気づきでしょう。男性の仕事量を減らすためでなければ、全く意味がありません。男性が家庭教育や家事に関わることのできる余裕を強制的に作らせるように、行政指導していますが、十分でない現状です。


 物がない状態でも、安心して暮らすことができる精神性を、日本人に持たせるために、当たり前のように社会福祉を充実させることは言うまでもありません。


 生活保護の不正受給をあげつらうテレビは、全く別の意図で、日本人を馬車馬の如く追い立て、搾取する意図を持って、編成されているとしか思えないですね。


 日本のように、当然の権利を享受するのに気を使わねばならない状態で、女性の社会進出がうまくいくはずがないです。日本特有の社会病理こそ、先に”教育”で解決してから、前に進むべきです。


 ベーシックインカム、税制や法律、先進諸国が成功、失敗したことの事例を直に知るためには、テレビなど捨て、外を直接に見るべきです。能力が低い民族は征服されて滅ぶのが歴史のセオリーですから、日本人は生き残りをかけて、聡明に生きていかないと、絶滅する運命にあります。


 大和撫子を復活させた方が良い、というアイデアは、男性のためだけでなく、日本全体のためです。知的であればあるほど、決して平等でない世の中を少しでも平等に近づけるには、どういう制度が有効か、テレビや新聞からでなく、書籍や現実の中のやりとり、実体験を通して、知って、考え、実践していくことで自分の手で社会を変えていける。


 恋愛や遊びもいいですが、本当に面白いことというのは、欲望や快楽に基づいていないことを、多くの人に伝えたいと思い、書き始めました。自分は口ばっかりの人間ですが、少なくとも多少は知識はあるし、興味を持ったことは何でも分析するし、調べます。努力もする方です。


 そんなふうにして、自分が得てきたものを、他の人と共有したいと考えます。この連載が、有意義なディスカッションのための問題提起となれれば、幸いです。





 


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