第3話 戦慄のコンピューターウイルス

コンピューターウイルス・・・恐ろしい言葉だ。コンピューターはよく生き物の名前に例えられるが(マウスなど)、ウイルスほど的確にその性格を表現した物はないだろう。


ここで、コンピューターウイルスの特徴をまとめてみよう。


1.人にはうつらない


絶対に人間にはうつらない。赤と青と白の光を点滅させて発作を誘う、というのは出てくるかもしれないが、それにしてもウイルスに感染する訳ではない。もし感染したとしたら、あなたにはサイボーグだ。


2.自然発生しない


これは絶対とは言えないかもしれないが、ウイルスはまず間違いなく外部から何らかの手段で感染する。もし自分のコンピューターの中で発生したとしたら、あなたにはハッカーの霊がとりついているかもしれない(ちなみに、悪意を持った者はクラッカーと呼ばれている。本来ハッカーは尊敬されるべき名称らしい。まあ、どちらの霊にも取りつかれたくはないが)。


3.いろんな種類がある。

らしい。


4.ワクチンソフトがあり、効く。

ようだ。


3と4の解説は他の雑誌などに譲るとして、だいたいこんな感じか。


実は、僕もウイルスに遭遇したことが何回かある。十数年も前の話だが、最初に気づいたときの事を書こう。


その数日前から、共同で使っているコンピューターの調子が悪かった。仲間内で、ウイルスに感染しているんじゃあないか、ということで、2年ほど前の雑誌のおまけでついてきたワクチンソフトを試してみたが、ウイルスは検出されなかった。しかしコンピューターの調子は悪くなる一方。そこでお金を出して最新のワクチンソフトで調べてみると……。


「ウイルスが検出されました!」


とのメッセージが、ディスプレイに表示された!


ざわめく仲間達。本物のウイルスだ、初めて見た……。


名前を見てみると、ヤンキーなんとかと書かれている。聞いたことのある名前だ。

恐る恐る画面をスクロールさせ、詳細を見てみる。するとそこに書かれていたのは……。


「症状:午後5時になると、アルプス一万尺を演奏する」


一同、大爆笑。


本当に鳴るのかどうか、試してみようと言う奴までいる。残念なことに(?)、これは機種限定のウイルスで、使っていたPCでは感染しても発病はせず、ファイルの操作関係が少しおかしくなるだけだったのだが、ワクチンで駆除する前にフロッピーに捕獲し、ライトプロテクトをかけて保存している(これは危険なので、まねしないように)。


何かの雑誌に、発病するとハードディスクの中身をすべて般若心経に書き換えるという恐ろしいウイルスのことが載っていたが、実在すれば驚異である。


コンピューターウイルスは、紛れもなくコンピューター界の困ったちゃんなのである。

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