影使いの不死者 ~不死+影魔法+ご都合主義=最強~

@gggg

第1話 物語の幕が上がる

「ハッピーバースデートゥミー。ハッピーバースデートゥミー。ハッピーバースデーディア俺〜。ハッピーバースデートゥミー。……俺、誕生日おめでとう。記念すべき千十七歳だ。ああ、永遠の十七歳とは俺のことだ」


 そう言えば、今日誕生日だった。と言うことで、お祝いの歌だ。俺から俺へ。喜べ俺。千二十一歳の誕生日おめでとう。違うな。千三十五歳だっけ? まあ、どうでもいいか。どうせ老けることも死ぬこともねえし。


 ああ、老けることも、死ぬこともないっていうのは俺は転生者だからだ。よくあるだろ? 現代日本でトラックに轢かれて死んだり、過労死したりで異世界で記憶を引き継だまま新たな生を得るってやつだ。あれだ。俺も例に漏れずトラックに轢かれて転生だ。あの時、俺を轢いたトラックの運ちゃんは大丈夫だろうか? 居眠りするほど頑張って仕事してんだし、何より人手不足だってのに通販会社は無茶なサービスばかり始めやがる。可哀想だろうが運ちゃん達が。俺は何とも思ってねえからあの運ちゃん無罪になってねえかな。ねえか。


 おっと、少し話しが逸れたがまあ、言いたいことは俺は転生者で、例に漏れずチート貰って転生したってことだ。チートっていいよな。チートって言うよりチーレムだな。チート使って可愛い女の子達が無条件で転生者に惚れる。いいよな。俺はチーには会ったけどレムには会ってないんだが。俺のレムちゃんは一体どこにいるんだ。


 また逸れたな。えー、なんだ、ああ、俺のチートのことか。俺は転生者として転生する際にチートを貰った。普通の人より高い身体能力や魔力とか。でも、これは普通の人よりは高いってだけで、最強ってわけじゃない。チートって言っていいのか迷うレベル。俺がチートって言っていいのはこの身体。不死の身体だ。何されても死なねえし、細胞が死ぬこともないのか老けることもない。不老不死の身体。これが俺のチート。これのみ。


 ……ああ、ショボいよな。普通チートって言うと魔王だって一瞬で倒せる魔法を無限に打てたり、パンチ一発で星を潰せる腕力みたいな俺が神だと言わんばかりの能力のはずなのに、俺のチートは死なないだけ。もう笑うしかない。ハッハッハッ。


 そんなショボいチート貰って生きてきたと言うより死ねずにきたということになるんだが、意外とこの千年楽しかったりする。最近になってようやくよくある剣と魔法の世界になってきたしな。あっ、この世界はよくある剣と魔法の世界ね。中世ヨーロッパみたいな場所で剣と魔法があって、ゴブリンやドラゴンみたいな魔物がいるあの世界ね。いやー、やっとか! って感じなわけよ。俺が生まれた時なんて文明が出来てきたみたいな時だったから。日本で言うなら、土器とか土偶とか石棒みたいなのがある時か? 分からん。俺は頭良くないしな。


 そうそう、転生者と言えば普通の人が知らないような科学の知識を持ってたり、武器や銃器の知識、扱いが出来たり、武術の心得があったり果ては料理もシェフ並みなんて言うのが多いけど、俺は全然そんなことない。科学? 何言ってんだ。理科だろ。アルコールランプにリトマス紙だろ。武器? 武器なんて修学旅行で買った木刀しか触ったことねえよ。武術の心得なんてもんももちろんない。料理? あれだろ、料理は火力だろ。


 こんな感じで俺の頭は良くない。見た目はまあまあ良いと思うが頭はこんなんだ。まあ、しょうがない。俺はそんな勉強してこなかったし、この世界の神も頭は良くないらしい。チートで真っ先に不死を与えるようなやつだ。それに多分不死の仕組みも分かってない。馬鹿だ。馬鹿ばっかだ。


 これで俺の自己紹介は大体終わったかな。あっ、そうだ。俺の今の状況を説明してねえや。千年生きてきたっていう過去だけしか言ってない。いかんいかん、ちゃんと現状を説明しねえと。


「これより大罪人シオン=スクートの処刑を開始する!」


 俺、処刑されるらしいわ。あっ、シオンって言うのは俺の名前ね。

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