第60話 2回戦進出

 華は初戦を危なげなく通過した。

 琴音と同じタイプ、強化系の肉弾戦。

 魔法使い系はハマると無敵かと思うほど強い。

 カードの引きと狭いフィールド一本橋、順々に近づいてきたやつを潰していった。

「こんなもんね」

「フィールドに救われたわね」

「奈美ー、負け犬が吠えてる」

「近いけど~遠吠え~」

「うっさいのよ!!」

「だからルールを読まないと~」

「読んでも関係なかったでしょアンタは」


「でも勝ったもん」

 そう奈美も初戦は勝っていた。

 ドグラ・マグラにのみ警戒したいた対戦相手がフィールドを雪山にしたのだ。

 ドグラ・マグラの進行を止めようとしたのだろうが…奈美のカード雪女の冬月さんが大活躍したのだ。

 奈美曰く…。

「フラッペ食べたから氷が味方した~」

 のだそうだ。


「どうでもいいわ…約束だからね、山分けだからね」

 琴音が華と奈美に強く念を押す。

「ガメツイ女ね、解ってるわよ琴音」

「大丈夫だよ~琴音のおかげで、黒いフードの戦い方も解ったわけだし~」

「そうそう、噛ませ犬として、役にたったわよ琴音」

「うん、そうだよ~犬だけに~」

「奈美、2回戦の前に何か食べたいね」

「そうね~言を担ぎたい~ね~華」

「解ったわよ…」


 カツカレー…3人で全部食べたら5,000円。

 懲りない華である。ちっこいのに…。


 琴音が3,000円を支払って会場へ戻ると、2回戦のくじ引きが始まる。

「アンタらがぶつからないことを祈るわよ」

「そうよね、まぁまぁ確立50%なわけだし~」

「奈美…アンタさっき20何%とか言ってなかった?」

「うん…私達が勝ったからね~」

「アンタらが、ぶつかったら50%変わらず」

「あっ、でも奈美とアタシがバラけても、双方負ければ意味が無い」

「華も私も勝てば100%だよ~」

「どっちがいいんだろうね、考えてもしょうがないけど…」

 華が青い顔で呟く。

 どうやら気分が悪いらしい。

「華…どうしたの?ダメなの?ギブ?」

 琴音が華の背中をさする。

「ギリギリ…」

 口を押える華。

「ダメ~?吐くの~?」

 奈美がビニール袋を鞄から取り出す。

 ひったくるように、華がビニール袋を持って路地の隅へ走る。


 しばらくして、華が戻ってくる。

「いやぁー、スッキリしたわ、スマンかったです」

「ビニール袋は持ってこなくていいのよバカ華」

「私、貰いそう~」

 奈美がオエッと嘔吐えずく。

「被害を広げるんじゃないわよ奈美!!」

「そんなこと言ったって…なんか透けてるし~スケルトンだし~」

「ネクロマンサーだけにね」

 華がポーズを決める。

「ねっ、じゃねぇ!! ゲロ姫!!」


 フーッ…フーッ…奈美が深呼吸して落ち着きを取り戻した頃、2回戦の組み合わせが行われる。

 奈美・華・黒フード・鉄仮面のタキシード。

「それではくじ引きいってみようー!!」


 華は鉄仮面、奈美は黒フード…。

「バラけはしたけど…黒フードは強いわよ奈美…」

 と負けたもので琴音は呟くだけ。


「では、1時間後に2回戦を行いまーす!!」


「バラけたわね…まずは良しとしましょう」

 琴音が生を頼んでカンパーイ!!とジョッキを掲げる。

「いいわね…負けた人は…」

「うん…すでに他力本願だもんね~」


「お待たせしました、チャレンジ鍋焼きうどんマキシマムヒートです」

「はい?」

「頼んだのよ、激辛うどんを30分で汁まで飲んだら1万円」

「アンタ懲りるってことわないの!! バカ華!!」

「うっうっ…目が痛い~…痛いよ~」

「3人で成功すれば3万円よ、琴音、さぁ食べて」

「失敗したら?」

「9,000円の支払いね、3人で…」


「さぁ~て2回戦行くわよー!!」

 唇を赤く腫れあがらせた華が気合を入れて会場へ進む。

「頑張るんだよ~華~」

 涙が止まらない奈美が華を送り出す。

「アンタ…負けたら解ってるわね」

 鼻水が流れっぱなしの琴音が華を脅す。


 そう…9,000円、琴音が支払ったのだ。

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