第16話 貧乳サキュバス
「そう…薦めたの…動物園を?」
「うん」
「バカね…それ就職じゃないよね」
「う~ん」
「人身売買よ」
「お金は本人が受け取るんだから……いくらくらいなんだろ?」
「狼って80万くらいみたい」
琴音がスマホを奈美に見せる。
「ゲッ…ライオン50万って安くない?百獣の王だよ…威厳ないね」
「シャチ5億って…」
クリームソーダを飲んでた
「ねぇー狼男って80万足す、いくらになるんだろ?」
「う~ん…男の部分よね…20万ってとこでジャスト100万!」
琴音が指を1本立てる。
「人面犬はレアよね~」
奈美がポケ~と呟く。
「男<狼<狼男<人面犬ってこと!」
琴音が窓の方を向いて、青い空を眺めながら
「まぁ、いずれにしても売れないわ…」
「なんで?」
奈美が聞き返す。
「だって…満月しか狼男になれないんでしょ、しかも雲がかかると人面犬って…見る条件厳しすぎ」
琴音が答える。
「そうね~…普段は毛深い、人見知りな男性ってだけだからね…」
奈美がガッカリといった顔をする。
………………♪♪………………
「奈美、夏休みが終わっちゃう…帰らなきゃ」
「華!帰っちゃうの?どこへ?」
「どこって、アンダーグラウンドよ」
「あ~、よく解らないけど……みんなが住んでるとこ」
「うん……まぁそうなんだけど、街とか国とかじゃないからね、なんていうか見える人には見える街というか、行ける街というか」
「えっ?アタシも行けるの」
「行けるというか……アンタお金借りたでしょ」
「うん…開業するとき8,000万」
「借用書読んだ?」
「読んだよ……サーッと」
「見てみなさいよ借証書」
言われるままに借用書に目を通す奈美。
「アンタが借りた相手…誰?」
「
「アタシのパパよ…アンダーグラウンドのひとつを支配する魔王よ」
「魔王の名前が
「うっ……まぁ……そうよ、問題はソコじゃないでしょ!」
「なによ~」
「アンタ担保なしで8,000万借りれるわけないじゃない!アンタはすでに魔王の配下なの!
「
「そうよ…8,000万返済するまでアンタは魔王の配下!」
「え~!」
珍しく受け止めきれない現実に戸惑う奈美であった。
………………♪♪………………
戸惑った奈美、とりあえず最近、根気強く教えているネッシーの玉乗り訓練を開始していた。
「アタシ…悪魔になっちゃった…しかも
「
「せめて
………………♪♪………………
時空を超えたジグソーパズルとでも言おうか、様々な場所、あるいは次元から寄せ集められた空間の集合体ともいうべき場所なのだ
ゆえに文化、人種が、ごった煮のような国が出来上がる。
その国の数は膨大で把握しているものはいない。
「というわけで…アンタはすでに立派な住人というか家臣なのよ」
「知らなかった~角とか羽とか生えないし~」
「それはアレじゃない…サキュバスとして活動してないからじゃない?」
「サキュバスの活動ってなによ?」
「男を惑わせて…精気を吸い取る……無理か……ゴメン」
「謝らないでよ~、プライド傷つくよ!」
「サキュバスのプライド?」
「女としてのプライド!」
ネッシーがゴムボールからコテンと転がり落ちた。
………………♪♪………………
「あっ!桜もパパの家臣だよ」
「桜さんも?」
「うん…アタシの世話役というか…教育係というか…人間としてのね」
「あ~それで…病んでるんだ…可哀想…こんな主人じゃね~」
「…うっ……それは…なんか言ってた?」
「守秘義務です!」
ビシッと右手で会話を遮る奈美。
「そっか~桜さんも家臣なんだ~魔王 大久保の」
「有事の際には働きなさいよ!奈美」
「何を期待してるのよ~」
「さぁ~敵を惑わして、かく乱とか…無理か…ゴメン」
「だから謝らないでよ~」
「琴音のほうが
「そうね!仲間は多い方が!……あっ…ダメ…負けそう…首から下で負けそう」
「首から下って…面積的には9割負けてるわよ」
「いつか、桜さんと肩を並べて戦うのね…奈美!俺に構わずヤツを殺れ!みたいな、ダメあなたを犠牲になんかできない!とか?」
「桜…死なないよ…灰からでも蘇生する、アレ不死身だから、性格的にアレだから、あぁだけど、スペック的には魔王クラス」
「そうなの?じゃあ桜さんと下剋上するわアテクシ!借金も無くなるし」
「うん…まぁ勝手に頑張りなね…怪我しないようにね」
………………♪♪………………
「へぇ~アンタ、
「うん…知らない間にね~人間捨ててた」
「案外、自覚無いモノなのね~」
「うん」
琴音は呆れて、ストローを咥えたままカクカク動かして聞いている。
「
「週末のたびに来てるよ」
「いつ、パパを倒しに来るのか?ってさ~」
「反抗期かしらね」
「アタシ自信が無くて~」
「胸がないからね…惑わすより迷わすタイプよね奈美は」
「
正面で腕を組み真剣に悩む奈美、胸が無いせいだろうか腕組みがしやすいようだ。
「琴音!アンタも悪魔に…」
「奈美…長生きするよ、アンタ」
「うん♪」
嬉しそうに頷く、
カウンセラー編 完
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