ひらり


 子供の頃は外で走り回って遊んでいた。

鬼ごっこもしたし、缶蹴りもした。

男子も女子も一緒になって遊んでいた。

いろいろと楽しかったな、と思い返せる。

自分たちで考えた遊びもたくさんあった。

“ひらりひらり”も仲間でよく遊んだ。

ほとんど鬼ごっこと同じようなものだが、

違うのは鬼が、「ひらり、ひらり」と言いながら

大げさに手を振り回して追いかけるところである。

私もけらけら笑いながら遊んでいた。


 ひとつ覚えていることがある。

よく遊んでいた公園に、見かけない子供たちが来ていた。

少し遠くの学校の子なのだろうか。

無邪気なものであるから、いつのまにか一緒になって遊んでいた。

そして、“ひらりひらり”をやることになったのである。

その子らにやり方を教えると、ひとりが嫌がった。


「わたしそれいやだ」

「えー面白いよぉ、こう鳥みたいに手をさぁ」

「こわいからやらない」

「なんでぇ、なにがこわいの」

「ねこをたべるから」


その子たちとはそれきり遊ばなかったから、それ以上のことは分からない。





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