緞帳 ー猿噛梍の怪異ー

順番

0.梗概

黄色い花



まだ若いは、しらないのです。


秋になると、糧が実ります。


でも、若いはまだしらないのです。


ぞよぞよと黒い長い実を垂らした、


あのさいかちの木の下を通ることを。


ざぎざぎととげからとげが生えた若枝の、


あのさいかちの木の下を通ることを。


おおさいかちのうろ穴の、


その深くには、畏れ多いものが棲んでいるのです。


ぶちりぶちりと実をちぎる


ぐさりぐさりととげを刺す。


破らねば、食えぬのです。


破れば、溺れるのです。


まだ若いは、しらないのです。


ぞよぞよと黒い長い実を垂らした、


あのさいかちの木の下を通ることを。


ざぎざぎととげからとげが生えた若枝の、


あのさいかちの木の下を通ることを。


--------------------


誰もいない舞台があります。


下手から人物が中央へ向かいます。


人物は“けもの”を模した面をつけ、

台詞を語ります。


台詞を終えると、上手へ向かいます。

舞台の明かりが消えます。

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