緞帳 -大鳥邸の怪異ー

順番

0. 梗概


杯を持っての独白


 大鳥邸の蔵には、朱塗りの杯があると伝えられています。

ただ、その杯は人間の髑髏から作られている、とのうわさがあるのです。

皆はさまざまなうわさをするのです。

その杯で酒を飲むと願いが叶う、だとか。

あるいは髑髏の呪いに逢う、だとか。

蔵の中に恐ろしい鬼がいる、とか。

はたまた、そんな杯はない、というものもおります。

 ですが、確かに大鳥邸の蔵には、そのようなものはありません。

確かに、ありません。

…わたしが知っているのはそれだけです。


あの蔵の行李には、みにくいものが這入っているのです。


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 誰もいない舞台があります。

中央にはあらかじめ銚子と杯が置かれています。

“主人公”がとぼとぼと歩いて、中央にとどまります。

そして、その場に座ります。“主人公”はさめざめと泣きます。

銚子から杯へ注ぐ動作をして銚子を置き、両手で杯を持ちます。

ここで“主人公”は泣き止みます。

静かに高く持ち上げ、独白をします。


 独白を終えたら、杯を静かに下ろします。

舞台の明かりが消えます。

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