たたきわる

夜が瞼を閉じる頃


青紫の山影が


白い朝霧をつれてくる


朝がまどろむ夜明け頃


夢の水面が ひとりと揺れた


赤にゆらめく紫の


ひかりに濡れる白い眼は


秋の涙をひそかにうつす


いつかの夜の落ち葉に見えた


たおやかにのびた 細指が


ぼこんとふくれた 胎を見つめて


ひたりひたりと なでていた


青紫の山影が


秋の涙を連れてくる


すやすや眠る 稚い季節は


今か今かと 待っている


薄い胎を喰い破り


白い殻をばきりと割って


明日を観る日を待っている


またふたつ 時が進み


秋は甘やかに微笑みながら


夏の生き血をすすっている

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