ラグ
散らかった 白い部屋
毛足の長いラグに
へたりこむ わたし
視神経に異常はないけれど
何も視ない わたし
いきることを ひとときの間
やめている わたし
何気なくおかれた 指先から
流れ出してゆく わたし
髪ばかりがつやつやと ひかる
ねう とぶち猫が一鳴き
聴こえているのに
聞こえているのに
なにもしない わたし
ぱちりと 電気灯を点ける
私の神経に走る しびれ
わたしが 起動する
にこにこと わらう わたし
いつも通りの やさしげな
わたし。
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