足りない言葉


つまらないことが多すぎて

ほんの些細なすれ違いが痛い


僕たちは何もかも分かったふりをしていて

時々、言葉が足りないので


それなのに足し算ばかり繰り返して

足枷ばかりを増やしていく


雲が流れるように

幸福がすぐ傍にあるものだと勘違いして

ちょっとした擦り傷を生む


そんな傷がやがて激痛に変わっていくことも予感できない


僕たちはジャンプして

ほんの少し、手を伸ばせばいいと

いつも思ってた


僕達はステップして

君との距離がいつか縮まると

そう信じてた


運命の女神がいつか微笑むと、

何の努力もなしにそう信じてた


僕たちは言葉が足りなかった

気付く時もあった

気付かない時もあった

僕たちは何かが足りなかった

気付く時もあった。

大抵は気付かなかった。


僕たちはジャンプした。

月まで全然足りないのに。


僕たちは言葉を投げかけた。

そして、君が振り返った。


僕たちはジャンプした。

全ての法則をねじ曲げて

言葉で月を打ち落とす


僕は君とジャンプする

息を合わせて

声を合わせて

その手を合わせて

心の奥底を話して


僕達は言葉を投げかけた

そして君は振り返った

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