ラブリーしゃん

最中杏湖

第1話

その1『注意事項しゃん』


「この物語は天使な小悪魔ラブリーしゃんと、何人いるか誰も数えた事のない知らない仲間たちが繰り広げるコメディでしゅ!ラブの要素はございましぇん!なので、ラブコメではございましぇん!しいていえばコメでしゅ!」

「ロゼ。何を一人で言っているの?」

「はっ!後ろにいた青い犬が話しかけてきて、ラブリーしゃんはビックリしてしまったんでしゅ!これで、その1は終わりでしゅ!」


その3『ギザギザしゃん』


「人生には騙される事が多くありましゅ!そんな過ちを犯さずに済むよう、嘘つき迷宮へとやってきたラブリーしゃんでしゅ。ぐぐーっと扉を開けようとするも、それは壁に描かれた扉の絵でしゅ!してやられました!すると、そんなラブリーしゃんを見て笑っている老人がいましゅ!偉そうな老人が偉そうに話しかけてきましゅ!」

「私は嘘つき仙人。全ての嘘を知っている仙人。この迷宮に入り、抜ける事ができれば、全ての嘘を見抜ける目が備わるだろう。精進せよ。そういうと、私は不思議な力で壁の中へと消えて行くよ。すーっとね」

「嘘つき仙人が言っていたので、あれは全て嘘に違いありましぇん!そう確信したラブリーしゃんは、さっさと家に帰りましゅ。台所にカップラーメンがあったので、それを作りにかかりましゅ。お湯を沸かしながら、かやくの入った袋を開けようとしましゅ。ギザギザしたところがあったから、そこに指で力を入れましゅ。開きましぇん!よく見たら、逆側のギザギザしていない方に開け口って書いてありましゅ!いっぱい食わされました!以後、今回の事をラブリーしゃんは心に刻み、生きる糧とする事でしょう。ギザギザしてる方が、大体は偽物。それだけが解っていれば、人生は安泰なのでしゅ」


その4『小鳥しゃん』


「えーんえーん!空を飛べないよ!僕は空を飛べない小鳥だよ!」

「せっかく人が気持ちよく洗濯機に入って回ってたのに、うるさく外で泣いてる鳥の子がいましゅ!ゆるせましぇん!ラブリーしゃんは部屋から出て、文句を言いに行きましゅ!泣くのはやめてくだしゃい!」

「泣くのを止めないよ!僕は飛べない小鳥だよ!飛べなくて悔しいから暴れるよ!」

「この小鳥、一つも羽毛がありましぇん!これじゃ飛べる訳がありましぇん!ラブリーしゃんは正直者なので、正直な感想を言いましゅ」

「そう、僕は七面鳥にされそうなところを逃げてきたんだよ!オーブンレンジという監獄から逃げ出してきたんだよ!」

「あの七面鳥やろう!どこへ逃げやがった!次に見つけたら、七面鳥にしてやる!」

「きた!隠れよう!そういうと、僕はロゼのスカートに入り込んだよ!」

「オーブンレンジの余熱で生温かくて、気持ち悪いと思ったラブリーしゃんでしゅ。さっとスカートを退けると、隠れていた七面鳥が露わとなったのでしゅ」

「あっ!七面鳥やろう!待て!逃げ出した七面鳥を俺は追い掛けるぞ!」

「見つかったよ!僕は七面鳥にはならないんだよ!どこかで羽を見つけて、地べたから飛び立つプランだよ!」

「七面鳥の子どもが逃げて行きましゅ。それを見送ると、ラブリーしゃんは部屋の中の洗濯機に入って楽しく回りましゅ。それから数日か、数時間か、数秒の時が流れましゅ。洗濯機が壊れてしまったので、今度はベッドの上でトランポリンごっこをするラブリーしゃんでしゅ」

「ベッドの下を走っていく小鳥だよ!スポーツ用品店で羽を買ったけど、それをつけても未だに飛べないよ!バドミントンがなんなのかは知らないよ!」

「くそっ!どこに行きやがった!渾身のスマッシュでサービスエースを決めてやる!そんな俺はバドミントンの選手だ!」

「あの七面鳥やろう!あいつが逃げるせいで、俺は三日間も食事にありつけてねぇんだ!フライドチキンが俺を誘惑するが、滝に打たれて修業した俺は誘惑に負けねぇんだ!」

「わっ!追い掛けてきたよ!バドミントンの選手と七面鳥マニアに追われながら、ベッドの下を走っていく小鳥だよ!」

「バドミントンの羽根を頭につけてる七面鳥を見てるラブリーしゃんでしゅ。あれから、どのくらいの時間がたったのか知らないでしゅが、まだ七面鳥は飛べてましぇん。様々な相手を敵にして、七面鳥が逃げて行きましゅ。急に、お腹がすいたので、餃子を焼くラブリーしゃんでしゅ!餃子といえば羽!溶いた片栗粉を流しこんで、無駄なパリパリを作りましゅ!」

「羽と聞いて、飛べない小鳥が現れたよ!その羽を頂くよ!」

「あげましぇん!といった矢先に、七面鳥がフライパンへと飛び込みましゅ!餃子が潰れましゅ!追い出そうとしたラブリーしゃん、近くにあった油をかけましゅ!」

「わー!熱い!体がパリパリしてきたよ!こんがりと揚がって……僕は……もう、揚げ物料理だよ!」

「この七面鳥やろう!こんな所に……嘘だろ?こんな姿になっちまって……これじゃ、もう俺は、こいつを食べられないぜ。あとくされなく、俺は相撲部屋へと帰るぜ」

「バドミントン!バトミンドン!あ……もう羽が付いてない。これじゃスマッシュできやせん。これにて退散。俺、降参」

「飛びたいという夢を持ち、走って走って走り続けた小鳥でしゅが、最後は油でカリカリのフライになったのでしゅ。その姿は、やりとげて満足げにも見えたラブリーしゃんでしゅ。そう思いながら、餃子を焼き直すラブリーしゃん。しかし、その後の完成した料理が、美味しい野菜炒めになるなんて、この時のラブリーしゃんは知る由もなかったのでしゅ」


その7『ロンリ―しゃん』


「今日は他に誰も世界におりましぇん。だから、ラブリーしゃんは一人遊びをしましゅ。一人プレイとも言いましゅ。一人遊びの定番と言えば、そう。コマ回しでしゅ。ひもをコマに巻いて、一気に引っ張りながら落としましゅ!そうしたら、コマがコマコマ回りましゅ。二つ目を回しましゅ。そこでラブリーしゃんは気づきましゅ!コマとコマをぶつけたら、二人でも遊べましゅ!二人でも遊べると、純粋な一人遊びじゃございましぇん!一人遊びを極めたいので、コマ回しは止める事にしたラブリーしゃんでした。別の一人遊びを探しましゅ。一人遊びの最高峰と言えば……そうでしゅ。うどんをこねる事でしゅ。うどんの麺を作りましゅ。小麦粉がございましぇん!これでは、うどんどころの騒ぎではございましぇん!これじゃ、パンも作れましぇん!別の一人遊びを探しましゅ。一人遊びの筆頭と言えば、そう。スクラップ作りでしゅ。気になる記事を集めて、自分だけのファイルを作りましゅ。ラブリーしゃんは、おにぎりの記事を集めましゅ。おにぎりの記事なんて、ございましぇん!新聞も雑誌も、もっと、おにぎりの記事を作ってくだしゃい!政治経済の記事なんて、見出しだけあれば十分でしゅ!おにぎり優先でしゅ!おにぎりの事を考えていたら、お米を炊きたくなったラブリーしゃんでしゅ。ところで、炊くという言葉を使うと、とても美味しそうに感じましゅ。これからは、ホットケーキもショートケーキも、たくあんも、炊くといいでしゅ。話は戻りましゅが、もしかすると、この、お米を粉にすると、うどんもどきが作れるかもしれましぇん。おにぎりは止めて、うどんをこねましゅ。やっぱり、一人遊びの一番は、うどんをこねる事なのでしゅ。そして、今日、解った事は、一人遊びをすると、ずっと一人で喋り続けないとダメなので、あごが疲れましゅ。次に一人遊びをする時は、他に喋る相手を用意しようと思ったラブリーしゃんでした」


その8『しゃん』


「ラブリーしゃんでしゅ。ラブリーしゃんの、しゃんが何なのかと、ラブリーしゃんから質問の投稿があったので、それを説明しましゅ。しゃんはシャンプーの、しゃんでしゅ。リンスは入っておりましぇん!リンスとは別々に使ってくだしゃい!それが、頭を洗う時のコツでしゅ。これは体を洗う時にも応用できましゅ。ここ、テストにも出ましゅ。ラブリーしゃんとの約束でしゅ!」


その9『ラブリーしゃんライブ2011夏』


「ベイベ。今日はラブリーしゃんライブ2011夏に来てくれて、どうも、ありがとうでしゅ!ライブ会場は、銭湯でしゅ。よく声が響きましゅ!はっ!観客の石鹸が呼びかけてきたでしゅ!ベイベ」

「今は冬だよ」

「なぜ2011かというと、2011という語呂がいいからでしゅ。なんでラブリーしゃんライブなのかというと、ラブリーしゃんが歌うからでしゅ。石鹸は納得したようでしゅ。それでは、一曲目を歌いましゅ。聞いてくれでしゅ。一曲目、シャドーでしゅ。影はラブリーしゃんについてきましゅ♪どこまでもついてきましゅが、この間は影が迷子になったから、たまに後ろを見ないといなくなりましゅ♪でも、あまりにもいなくなるので、ポケベルを持たせようと思ってたラブリーしゃんでしゅが、この間、後ろを見ながら歩けばいいと、ひらめいたのでしゅ♪後ろ歩きは便利でしゅ♪すでに特許は出願中でしゅ♪でも、影は前にいる時もありましゅ♪フェイクってやつでしゅ♪」

「うるせぇ!俺は裏の空き地にすんでる野良犬だ!語尾にオンプマークをつければ歌ってるように聞こえると思ってるかもしれないが、俺は騙されないぜ!それは、ただの独り言だ!」

「空き地に住んでる野良犬が歓声をあげていましゅ♪ラブリーしゃんは犬の言葉が理解できないので、オンプマークをつければ歌ってるように聞こえるよう喋り続けましゅ♪それでは、アンコールを受けつけましゅ♪」

「アルコール?それはワタシ、バーボンさ!自慢ではないですが、アルコール度数は80度です」

「ありきたりなシャレが台所から聞こえてきて、テンションが下がってしまったラブリーしゃんでしゅ。もう、ぐっすりと寝ましゅ。それでは、また明日のラブリーしゃんライブ2011夏で会いましゅ。サンキューベイベ」

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