第13話笑わない少女と知性武装
読んで字のごとく、会話すら可能なほどの高度な知性と意思を持つ武器。
それが
会話と言えば、
正確な意味での会話ではないのだそうだ。
そして
その大部分が黄金で装飾された武器。
これは女神ル・シャラが黄金の装飾品でその身を飾っていたとされることも関係しているのだろうか。
正確には黄金ではない。
この世の何より硬くそして美しいと言われる金属。
あの
それほどの希少な武器。
そう、私は最深部にあったその
強力な、そして
『オイオイ、そろそろ男を斬るのは飽きてきたんだが? いい加減女も斬らせてほしいなぁ! なんなら嬢ちゃんのアソコを突いてもいいんだぜ! ギャハハハハ』
このベラベラと下品な声で喋り捲るのは、私が使っている一振りの剣。
知性と言う割には非常に下品で使うたびに頭が痛い。
長さは90センチほどの
美術品として見てもその価値は計り知れないだろう。
その下品な言動にうんざりしつつ、背後から切りかかってきた『バルバロイ・アックス』の冒険者を斬り伏せる。
現在、私は
釣れたのは6人。
1パーティーだけか。
索敵を終え、五月蝿い
『なんだもう終わりかよ? 物足りなかったな』
その妙に甲高い声にイライラし鞘ごと地面に叩きつけたくなるが、どうせ堪えないので無意味だった。
「五月蝿い黙れ
『おい! 俺様は
こいつ……
私は
『うおっ! 待て待て話せば分か「敵よ!」 おう!』
索敵に反応。数は……12か。
結構なスピードね。
レベルは70超えで揃えている。
全員が
『なかなか足が速いしゃねえか! 色っぽいねえちゃんがいればいいなぁ』
ふむ、4、4、4に別れて囲むつもりね。
三重に包囲網を引いての構えに感心しつつ、姿勢はナチュラルに保つ。
接近までに互いをカバーしあえるような位置取りを済ませ、流れるような動きで襲い掛かってくる。
その際、声を上げるような真似はしない。
これほどの連携が取れるのだ、そんな三流な真似はしないか。
迫る12の白刃に呑気な考え事をしながら私は動かない。
そして……
「カリヴァーン、
『
そして全ての時が止まる。
正確にはごくゆっくりと時間が進んでいるのだが。
全員が私に白刃を着きつけようとした状態で止まっている。
一人目の腕を取り私が立っていた場所に投げ飛ばす。
すると、頭を下にした状態で再び彼の時間が止まる。
次に二人目を背後から蹴り飛ばす。
三人、四人……
十ニ人すべてを私がいた辺りに蹴り飛ばした所で『……ワン、ゼロ
「「ぐわぁ!?」」「ぎゃっ!?」
彼らには何が起きたか理解出来ないだろう。
そして最後まで理解出来ないまま。
「
『
私の身体を黄金の光が包み込む。 そして……
「纏めて死ね」
重なり合って倒れ伏す彼らに黄金の魔力の輝きを伴う斬撃が彼らの命を奪う。
次元をも切り裂く斬撃を受け止める事など出来るはずもなく、彼らを軸として切り裂いた次元が、元に戻る際の次元修復に巻き込まれ飲み込まれて消えていった。
『なんつうか、過剰攻撃? な感じだなオイ。なに焦ってんだ? 生理か? ギャハハハハ あ、待て!? もう少し
クソッタレな
焦ってる? いいえ、楽しんでるのよ……
なぜか耳から離れない甲高い声を振り払うように足早に街へと戻るのだった。
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