第7話笑わない少女と魔劾武装……
かつて女神ル・シャラは魔王の侵攻を止めるため、このイスハーン大陸を強固な結界により封鎖し魔王を閉じ込めたという。
逆に言えばこの大陸を生け贄としてほかの大陸を守ったとも言える。
そして当時のアル=レギルス文明人はそう考え、そのことに絶望し、女神信仰を捨てたとも言われる。
女神の力によって召還される
信仰を捨てた事によりその
この様に殆どはかつての模倣であるが、魔王を倒す事には成功している。
しかし、そんな古代文明の技術でもどうしても模倣出来なかった物も幾つか存在する。
話が長くなったが、私が今手にしている武器、
「ねえ? 聞いているかしら、クソッタレさん?」
私は部屋に侵入して来た男、ミダイの首筋に槍先を突きつけ、背中を足で踏みつけながら尋ねる。
真夜中、宿舎の誰もが寝静まった頃、個人の魔力でしか開かない筈の、まあマスターキーはあるが、扉が開き静かに侵入する一つの影。
その影は手慣れた様子で部屋に忍び込み素早くベッドへ。
そして、光が反射しないように黒く塗りつぶしてある
「悪く思うなよ? これも命令だからな。貴族様には逆らえないんだよ。」
だが、ベッドに寝ている筈の人物を刺し殺した筈の
慌てて、掛けられていたシーツを剥ぎ取りベッドを確認する影、ミダイはベッドが抜け殻であることに驚く。
「なっ!?どこいった?」
「ここよ」
私は親切にも声を掛けてからミダイの後頭部を掴み、ベッドに叩きつけた。
「あぎゃっ!?」 鍛錬場の時とは違い、ベッドに叩きつけたせいか意識を失わなかったようだ。
「いっ何時の間にっ!?」
間抜けな事をいうミダイに呆れた声を掛ける。
「索敵くらいしなさいよ間抜け。」
さて、改めてここでミダイのステータスを覗く事にした。
レベルは67とそこそこ高いが、スキルレベルが軒並み低い。こいつも養殖組か……
仮にも王都の
ちなみにスキル構成は短剣術に忍び足など
普段は戦士として、裏で一番高いスキルレベルの暗殺術で殺しを請け負う感じだろうか?
私はストレージから
全体が黒く、手元の辺りが赤黒い色をした槍で見た目は槍と言うよりは肉厚の
「さて、あなたはジョリーナの命令でここに来た。そうよね?」
そう言いながら、少し穂先を押し付ける。
「し、喋れば助けてくれるのか?」
「まあ考えてあげるわ。」
ミダイはゴクリと喉を鳴らして話し出す。
「そうだ。ジョリーナ様の命令だっ! 俺はコンティナ家の専属冒険者なんだ! だから仕方なく…」
「へえ、仕方なく命令されて女を強姦したり子供を殺したりしたの?」
こいつのステータスには賞罰の欄に強姦、子供殺し、称号に快楽殺人鬼というのがある。
鍛錬場でジョリーナを挑発したのはこいつをこちらに向かわせる為でもあった。
「なっなんでそれをっ?」
ミダイは慌ててこちらを向こうとするが背中を踏んだ足に力を込めて動きを封じた。
「と、とにかく喋ったんだ。助けてくれるだろ!?」
「ねえ?私はあなたみたいな人嫌いじゃないわ。」
そう言うとミダイは顔を明るくさせる。
「それじゃあ!?」
私は槍をミダイの喉元から放し足ものけてやる。
「た、助かったよ。」
ミダイは喉元をさすり、汗をかいた額を拭う。
私は話を続ける。
「あなたみたいな人嫌いじゃないわ。だって……あなたみたいなクソッタレな人なら殺すのにためらいないもの。」
その言葉にミダイは身体をよじらせて逃げようとするが。
「貪り喰らいなさい。ガルム!」
振り上げた槍が巨大な、真っ黒い影で出来た狼犬の頭部へと変化し、その口を開きミダイを飲み込み
ミダイは悲鳴も上げれぬままガルムに喰われた。
ゲエップッ なんとも臭いゲップをしながらガルムは姿を元の
……これだからこいつを使うのはイヤなのよ。
とは言え、死体を処理するにはこいつは最適だった。
元に戻った槍をストレージに仕舞い、これからのことを考える。
戻って一週間も立たないが、仕方ないか……
私は明日以降の事を考えながら、ベッドに潜り込み
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