第6話笑わない少女と決闘代理人
さて、放課後になり部屋へ戻ってきた。
めんどくさいことになったわね。
ベッドに腰掛けながら私はため息をついた。
制服の胸ポケットに入れておいた生徒手帳に目を通し、決闘について書かれているページを確認する。
一つ、魔法学園には決闘システムという物が存在する。
2つ、決闘は審判となる教師が二人以上必要である。
3つ、決闘は武器、魔法の使用は自由である。
4つ、勝敗は審判の判断、相手が行動不能となる、反則行為などによって決まる。
反則行為とは、決闘者以外による攻撃や手助け等、相手を死亡させた場合も反則となる。もしくは故意による四肢の欠損攻撃等。
……やっぱりめんどくさい。
殺しありなら面倒もなくてよかったのだけれど。
うん? 索敵に反応あり……
レベルは……67か。 一体何者かしら?
その存在は貴族宿舎の方に向かったようだ。
まあこっちにこないなら関係ないか。
一応警戒だけはして眠りに着くことにする。
もしかしたら楽しい事になるかもしれないわね。
朝、食堂でご馳走を平らげ登校の準備を済ま登校する。
教室に入ると生徒達は私から目をそらしコソコソとする。
気にせず自分の席に座り、外を眺めていると、早い時間にジョリーナ達が入ってきた。
「あら? お早いのね、マキナさん。」
「あなたもね?」
私がそう返すとフンと顔を逸らし自分の席へと向かった。
「マキナ! 放課後逃げるんじゃ無いわよ!」
取り巻きAがそう言って睨んできたがもう一人に腕を引かれて席につく。
そしてこちらを見て意地の悪い笑みを浮かべた。
授業は滞りなく退屈なまま終わり、放課後に。
私が鍛錬場へ向かおうと席を立つと、周りも動き出した。
どうやら観戦する気のようだ。
鍛錬場に到着すると、すでにジョリーナ達が待っていた。
「逃げずに来たようですわね?」
と、ジョリーナが余裕の笑みを浮かべる。
「逃げる理由もないしね。」
そう答えてやったら、こめかみがピクリと動いたが何も言わなかった。
すぐに審判役の教師二人がやってきて位置につく。
教師に呼ばれ試合用の舞台に上がる。
しかしジョリーナは舞台に上がらずニヤニヤとこちらを見るままだ。
疑問に思っていると、一人の男が鍛錬場に現れる。
こいつは、昨日のレベル67の……
男はジョリーナに二言三言声を掛けられると舞台に上がってきた。
「紹介しましょう。彼が私の決闘代理人、
周りがざわつく中ミダイと呼ばれた男はこちらにいけ好かない笑みで気障ったらしく挨拶して来た。
「只今紹介に預かった
ふーん、なるほどね。 昨日の索敵で予想はしていたので得に反応せずにいると、ジョリーナが意外そうな表情で訊ねてきた。
「……なにか言うことはありませんの?」
「別に?」
「言っておきますけど決闘に代理人を立ててはいけないとは書いておりませんのよ!」
「だから文句はないわ」
そう言うとジョリーナは納得いかない顔をする。
「ただ……」
「ただ、なんですの?」
「
私がそう言うと、ジョリーナが肩を震わせてミダイに叫ぶ。
「遠慮はいりませんわ! 徹底的にやっておしまいなさいっ!」
そう言うと審判役の教師に決闘開始の合図を急がせた。
「一応棄権もできるぞ?」
と心配そうな教師に問題ないと告げる。
「やれやれ、知らないぞお嬢ちゃん。 こっちも仕事だからな?」
と言いながらも舌なめずりをしてこちらに嗜虐的な視線をよこす。
教師はため息をつくと一通り決闘のルールの説明をし、位置につく。
「それでは……決闘始め!」
ミダイは
右手に
私はそんな彼の背後に立ち、振り向き様彼の後頭部を掴み地面に叩きつける。
一瞬の事でまわりの
私は足元に転がっている汚物を足先で転がし仰向けにしてみると、どうやら気絶しているようだった。
審判を見るが、反応がない。
仕方がないので、転がっている汚物の首に踵を添え一気に踏み抜い……
「まてっ! まてまて! 何をしているっ!」
私の行動を見て慌てて教師が待ったを掛けてきた。
「何ってまだ勝敗がついてないようなので止めをささないといけないのかなと思いまして」
私がしれっとそう言うと教師は勝敗を告げる。
「し、勝者マキナ! だ、誰か医療師を呼んでこい!」
皆がせわしなく動き出す中、私は呆然とするジョリーナ達の前に歩みを進める。
「な、なぜ!?
私が近付いた事に気付いてないようなので声を掛ける。
「ねえ。」
「ひ、なっなんですの!?」
と、聞き返すジョリーナだが徐々にその顔から冷や汗が流れ、身体の震えが大きくなる。
なぜなら、ゆっくりと私が今まで押さえていた魔力を解放していっているからだ。もちろんこの三人だけに向けて。
取り巻き二人はすでに意識を失い掛けているようだ。
ジョリーナももう声も出なくなっているようだし。
「ジョリーナさん、どうかしら? これは提案なのだけれど。 これからは私達はお互い不干渉でいるというのは?」
ジョリーナは私の言葉を聞いているのか分からないが、首をせわしなく上下に何度も動かした。
「よかった。 私は平穏な学園生活を送りたいの。それじゃあね? クソッタレさん?」
そう言ってジョリーナの顎を一撫でして鍛錬場を後にする。
後ろで誰かが倒れた音が聞こえたがどうでもいいわよね?
やれやれ、取りあえずはこのクソッタレな騒ぎが一段落したことに安堵する。
私は夕食は何だろうと思いながら宿舎へ急ぐのだった。
細工は上々……かしらね?
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