魔導の国
東雲
プロローグ
魔導の始まり
昔、大きな戦争が起こった。
最初は何処の大陸にもある小さな領国間の争いだった。
しかし国と言う歯車が繋ぎ合い、それが大きな車輪となり、大陸全土を巻き込む戦争となった。
炎の魔法が人々を焦がし、水の魔法が豊穣の稲を腐らせ、風の魔法が天なる雲を切り裂き、土の魔法で母なる大地を壊した。
様々な魔法が繰り広げる闘争に、人々は《魔法戦争》と呼称した。
幾年も続き、大陸全土が疲弊していく姿を女神が嘆いたのか、人々に天罰が下った。
ある日、大陸全土に暗黒の雲が天を隠し、突如稲妻が地上に降り注ぎ、大陸を襲った。
その稲妻は、大陸にいる全ての物を破壊しつくし、戦争は終結した。
結果的にその稲妻が《魔法戦争》を終結した代わりに、大陸に住む大勢の人々が死に絶えた。
そして《魔法戦争》がこの大陸で御伽噺(おとぎばなし)になる事、幾年の月日が流れていた。
最早、この大陸で魔法を扱える者はいなくなり、代わりに生まれたのが魔導学であった。
魔導学とは、人間自身が心に宿る魔力で魔法を使うのとは違い、魔道石と呼ばれる石同士を共鳴させ、様々な道具に取り込め、魔法に似た事を出来るようになっていた。
その取り込んでいる道具を総称して魔導具と人は呼んだ。
魔導具を作り出す人間を魔導技師と呼び、再び魔法を使えると知った大陸中の国は、切磋琢磨に魔導具を作り出していた。
現在、魔法がこの世界で存在しなくなり、魔導技師達の研究により、魔道具がこの大陸の文明を支えていた。
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