用語録 あ行

【アロヤ草】 (固有名詞/共通)

 高山地方に咲く野草の一種。極度の乾燥にも耐える肉厚な葉が特徴で、硬質な葉を剥いた内部には、十分な水気と誘導蛋白質を蓄えた果肉がある。強い殺菌効果もある事から、その薄皮部分は切り傷などの外傷、皮膚疾患、失われた皮膚の応急治療まで幅広く用いられている。しかしその生息は標高の高い山々に限られており、採取に当たってはかなりの労力を必要とされ、群生地を見つけるのも容易ではない。


【ウェイン】 (登場人物/序章)

 鮮やかな金髪と、よく澄んだ青い瞳を持つ青年。性格は明るく実直で、村の子供たちに好かれる兄分のような存在。十三の時に父母を失くし、以来天涯孤独の身で新しい村での生活を始める。そのためか家族という存在を強く心に求める傾向があり、結婚したばかりのリィズとの生活に、貧困の中でのささやかな希望を抱いていた。

 正義感や指導力が強く、若くして村の会議にも参列する事も。しかし若さ故に一つの方向へ直線的な意識を向けやすく、時にそれが反発を招く事も。それは彼が純粋であるがゆえの産物なのだが、のちの悲劇をも招き寄せる結果ともなってしまう。


【馬轢き】 (固有名詞/共通)

 エクセリアで施行される酷刑の一つ。特に重罪を犯した罪人などに適用される。四肢に止血処置を施したのち、関節を裂き、あとは末端を縛って一斉に馬で引く。すると切り込みを入れた関節でそれぞれがもげ、胴体だけの人間が出来上がる。けれども生命の維持を担う内臓器官に対する障害はないため、瞬間的に死ねなかった場合、当人の意思に関わらず罪人は生かされる。そして死ねない環境の中で獣を放ち、生きたまま腸を喰らわせるのがこの刑の概要である。

 教会はその死までの猶予期間を懺悔の時間とし、罪人に悔恨を促すとされているが、その状態で懺悔出来た人間がどれほどいたかは定かではない。興奮した騎士たちは聖戦の最中で度々この断罪法を用いたという。


【エクセリア人】 (固有名詞/共通)

 大陸に住む人々の事。元はギルディア人も大陸に住む民族の一つだったのだが、いつの頃から芽生えた差別意識が民族を二つに分け、片方を虐げられた民として北の辺境へ追放し、残る片方を選ばれた民として平原に住まわせた。大陸に残ったエクセリア人は神聖王国エクセリアを築き、今や世界に名を轟かせる栄華を誇っている。

 建国以来、内戦や侵略はなく国政も安定しているが、一方でギルディア人への偏見と蔑視は深く、民の間から持ち上がった民族粛清の声を受けて聖戦は激化。神聖エクセリア歴四七九年頃より、国を挙げた本格的な弾圧が始まった。

 社会体制は王族を筆頭に教会、諸侯貴族、平民の三身制度が敷かれ、平民の下には奴婢と呼ばれる罪人や、奴隷階級のエクセリア貧民、ごく少数のギルディア人奴隷が存在する。

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