ヴァンパリズム!
@c-----ream
プロローグという名の録音記録
―――朝倉誠さんですよね?すみません。お時間取らせてしまって。
「いや、いいんです。私はそんな忙しいわけじゃないですから。」
―――そうですか・・・。ありがとうございます。
「いえいえ。ていうか、私なんかに何の用で?東京インフォの記者の方ですよね?有名人でもなんでもないのに」
―――そうです。今、特集しようとしている話題に関連している人物の、ご友人だとお聞きしたので・・・。
「へえ?またそれはそれは。そんな有名な友人なんていなかったと思うんですが・・・。一体誰のことです?」
―――片桐千里(カタギリセンリ)ご存知ないですか?
「・・・あぁ、アイツの話ですか、そうですねぇ、知っているといえば知っていますけど。あ、正直私、片桐千里の事は大嫌いですから。友人というか、友人『だった』って感じですね。ほんとはアイツの名前すら口に出したくないんですけど、まぁいいや。片桐は高校の同級生です。当時同じクラスで、結構つるんでましたね。けど、そうですねぇ・・・、高3の後半くらいからは全くと言っていいほどしゃべってませんよ。」
―――話さなくなったのは、何故ですか?
「うーん、まぁ、長くなるので結果だけ言うと、アイツが人間じゃないような気がしたんですよ。」
―――人間じゃない?
「はい。アイツは、なんといいますか、いっつも笑っていたんですよ。いや、まあ笑っている分には良かったんですけど、まあ、変な事件があって・・・。不気味でしたねぇ」
―――事件とは?詳しく聞かせてください。
「アイツが人を殺したんです。それもなんだか気持ちの悪い殺し方で。笑いながらね。」
―――気持ちの悪い殺し方とは?いや、思い出すのが辛かったら大丈夫です。無理をなさらないでください。
「いやいや、私もねぇ、この話を誰かにしたかったんですよ。うーん、なんというか、まぁ、血を吸った、というかなんというか、ヴァンパイアじゃ
ないですよ?さすがにこの世に存在しないものとは思っていません。すみませんやっぱりアイツは紛れもなく人間です。ただ特殊な性癖があったみたい
なんです。『人の血を吸うと、興奮する』っていうね、血を吸って殺したんです。いやぁ、驚きましたよ、そんな漫画みたいなことがあるとは。」
―――それは、世間には報道されてませんよね?
「はい。何故かアイツについて調べる記者はみんなどこかへ消えるんです。だからか、報道されなくなってしまって・・・・怖いですねぇ。自分の意思で消えるのか・・・はたまた誰かに意図的に消されるのか・・・・・」
―――冗談はやめてください。本気にしますよ。
「ハハハハハ。すみません。でもまぁ、気を付けてくださいよ。本当に記者の方失踪しているそうですから。」
―――・・・そうですか。気を付けます。
「そうですねぇ。では、そろそろ時間ですので。」
―――それはそれは、お時間取らせてしまってすみませんでした。色々なお話、ありがとうございました。
「いえいえ。あ、それと最後に一つ、私の名前は『朝倉誠』なんかじゃないですよ。」
―――え?
「私の名前は
『片桐千里』ですから。
そこのところお願いしますね。」
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