私の夏の思い出

絹奈すはる

 


夏が来れば嫌でも思い出す

遥か彼方に置きっ放しの

遠い記憶と淡いまぼろし

霧の中で浮かんで消える

やさしく幼い自分たちの姿が

幻覚となって小径こみちを走り回る


ひまわりが咲いているんだって

あんなに背伸びして

みんな同じ彼方かなたを向いて

何を夢見ているのだろう

蜃気楼で出来た荒海のほとり


黄金の花びらの眩しさに黄昏たそがれる

何億光年もの遥かな思い出

あまりにも遠くて青臭い

あたしのアタマの中の夏の空


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の夏の思い出 絹奈すはる @chinnens

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ