279文字の世界「半風雲児」

風の向くまま気の向くままに。

それが風雲児というなれば、さながら俺は、「半風雲児」といったところか。


風の気の向くままに流されるだけ。

舞い上がったり叩きつけられたり。

そこに俺の意思は関係ない。


どこぞの馬鹿に散々振り回されてから、俺は道端に捨てられた。

何べんも轢かれて、踏まれて、雨にさらされて、だけど行き交う人は俺を無視する。


台風の強風に巻き込まれ、気がついたら高速道路に落ちていた。ここに来てから、地に足つくのもまならない。


でも、たまに気づいたお子さまが、目をきらきらさせて、窓の向こうで手を振ってくれるんだ。


そのときだけは、ビニール袋も悪くないと思えるんだ。

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