第三章 バースデイ&バレンタイン

第一話 閑話ー新学期ー

 新学期が始まった。周りの奴らから見れば、冬休みの終わりはおぞましいものであるだろうが、俺にとっては違うものだった。

 双葉に合える日が増える。それだけで、俺の新学期は色を帯びたものになった。

 こんなことを言っているなんて、俺は心底双葉に惚れているんだなと、客観的に思う。

 

 さぼり癖のある彼女が、今日、始業式のためだけに来るかどうかは微妙なところである。けど、俺は久しぶりに双葉と会えると期待に胸を膨らませて登校した。


「おはよ!」

「おう、おはよ」


 最悪の可能性は免れ、彼女は学校に来てくれていた。挨拶をしただけで、こんなにも心が軽やかになるのか。俺の魂は朝からパタパタと天国へ飛んでいきそうだった。

 挨拶もそこそこに、俺と双葉はそれぞれの教室へ入っていった。


 残念ながら、俺と双葉のクラスは違う。

 この学校のシステムとして、クラスが進度別で別れているのだ。俺たちの学年にはクラスが四つあり、一クラス当たり四十人弱ほどである。

 一組と二組は中入生(中学校からこの学校に入った生徒)のクラスで、一組が成績上位の、二組がそれより下の成績の生徒が集まるクラスだ。三組と四組は高入生(高校からこの学校に入った生徒)のクラスで、こちらはランダムとなっている。

 俺は一組で双葉は二組。そうはいっても、俺は最近成績が落ちていて、一組を誇れるレベルではないのだけれど…。


 クラスが別れてしまっていると、なかなか会いに行きにくい。その上、一応、付き合っているのは隠しているわけだから、そんなに堂々と一生にいるわけにもいかない。


 だけど、ケータイが使えない(寮のルール)ため、毎日のコミュニケーションは絶対にした方がいいと俺は思う。これからは、どうやって話しかけに行くかも考えないとな…。


 始業式は退屈に終わった。校長の長ったらしい話や、冬休み中にあった大会などの表彰がされて、あっという間に始業式は終わった。


 そして、明日から始まる――課題テスト。長期休み明けに毎回あるテストである。

 いくら付き合って浮かれているとは言っても、こればかりは渋い顔を浮かべるほかない。


 俺は、容易に想像できるこれからの勉強漬けの毎日に頭を抱えるのだった。

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