歪んだ夢と現実の間でまた会おう

オタク。

第1章 愛する人

ガシャガシャと擦れるような金属の音、鉄の匂い、真っ赤な人々を僕はただ見つめている。人々は殺されていく、僕は真っ赤に染まり冷静に考える。

また1人僕を嫌う人間が死んだ、また1人また1人......長く終わらない夢は冷めてゆく冷静な思考回路を掻き回す、、、、

じり"じり"と耳を刺すような音で鳴く時計に起こされ、目を開ける、僕の目は外から入る光を受け入れ始める。

僕は僕しかいない部屋に声をかけた

「おはようシャーロック......」

僕の声は虚ろでとても暖かかった、僕は何時ものように服を着替え朝食をとった。ベットの横に椅子を置き座る、僕は話し出す。

「今日もまた人を殺したよ」

僕は微笑み苦しそうな声で言った、夢だと言う事はわかっていたが腕に残る傷を見るとそうとは思えなかったのだ。

夢の話を僕はゆっくり話す、話し終わった僕は外へ散歩に出掛けた、人がいない道を歩く。

雫が落ちる音を耳にしながら僕はただ無心に歩く、僕は白く美しいものを目にした。

何だろうと好奇心だけで近づいた僕は、真っ赤になった羽の生えた人間を見つけた。

僕はそのような存在が出てくる本を沢山読んだがこんなに美しいものはなかった。

その存在とは天使の事だった。

その子は怪我をしていた様だった、僕は天使を抱き抱え誰も居ない家に帰り、誰も居ない部屋にただいまと言った。

僕は天使を自分のベットに寝せ傷が何処にあるか探したが見つからなかった。

僕の目の前でスヤスヤと寝息をたてる存在は僕の胸を痛ませた、その存在は何時か愛した恋人を思い出す面持ちをしていた。

僕は思わず今も愛する人の名を口にした。

「シャーロック......」

「なぁに?」

僕は独り言に返事が返ってきた事に驚き今まで座っていた椅子から大きな音をたて落ちてしまった。

彼はその音にビックリしたのがハ"サハ"サと羽を揺らし身を隠した。

僕は驚かせてしまってすまないと伝えた。

「君はシャーロックと言う名前なの?」

僕は話し出した、彼は瞳孔の開いた緑や透明な青が混ざったような目で僕をみつめながら頷いた。

「僕はジョン、よろしく」

「ジョン」

シャーロックは丸い声で僕に聞いた。

「この世界はどんな世界?」

僕はどうしてそんなことを聞くのかと思いながら質問に答えた。

「すごく......苦しくて...真っ赤な世界だ....」

シャーロックは笑ながらこう言った。

「僕の大事な人もそんな事言っていた」

「僕の大事な人もジョンと言うんだ」

優しくて寂しそうな声は暖かかった。

僕はシャーロックの身体に刻まれた沢山の花弁を見ながら聞いた。

「何故こんなに花弁が刻まれているの?」

シャーロックは悲しそうな顔をしながら身体に刻まれた花弁を隠し僕に聞いた。

「君は人を殺したことはある?」

僕は夢の中ではと言った。シャーロックは震えた声で言った。

「僕は人を沢山殺した。」

「愛する人を殺してしまう前に僕が死のうと思った。」

「この花弁は僕が殺した人間の数だ」

そう言いながら微笑む彼が余りにも泣きそうな顔をするため僕の胸は締まった。

人の泣きそうな顔は沢山見たはずなのに彼のその顔は見ていて辛いなと感じた。

「ゴメン」

僕はあやまり違う質問をした。

「何故君はあんな所にいたの?」

「誰かに撃たれて羽が使えなくて落ちたんだ。」

「今は大丈夫?」

僕は心配になり大丈夫かを聞いた。

「大丈夫」

微笑みながらこっちを見るシャーロックにみとれながら僕はシャーロックと話した。

僕はシャーロックと出会いどんな世界が見えてゆくのだろうか?

シャーロックを見ていると愛する人を思い出すのは何故か?

などと考えながら話していた、、、、




今から始まる僕らの物語は夢のような現実と現実のような夢の中では生まれた愛の話。

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