短冊

「なんて書いたの?」


短冊を両手に持った織姫は

笹の葉に吊るしかけた僕の短冊に

手を伸ばす


慌てて隠す願い事

君にだけは見せられない


「…世界平和」

誰でもわかる下手な嘘

それでも君は「優しいね」と微笑んだ


夏の夜風が揺らす願いを込めた短冊は

君の背丈よりも高い位置に括り付け


いつか叶えられますようにと

夜空に流れる天の川で

再会を果たした二人に願う


『あなたたちのようになりたい』

匿名希望の彦星より

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