悲しき英雄に救済を
@pointrezer
第1話 転生、そして出会い
俺は死んだ、少し前まで形を残していたビルは塵すら残さず消えた。
平和だった世界が数秒の間に音もたてずに消えていった。そして俺も、気が付けば死んでいた。
あれ、俺死んだはずなのになんでこういった思考ができるのだろうか?死んだら何も考えたり出来ないと思っていたが、死後の世界でもすぐに消えて無くなるというわけでは無いらしい。
「一つ、お願い事をしてもいいかい?」
誰だ?頭の中に直接送られてくるかの様な声に俺は戸惑う。
「そうだね、君たち人間に解るように言えば、神っていうやつだね」
神様?で、俺に何か用ですか?
喋れない。だけど最初の誰だ?という疑問に返答を、もらったということは、神様は俺の考えていることでも解るのだろうか?
「なかなかに賢いね、その通り。僕たち神は、人間の考えていることなんておみとおしだよ。
頼み事のほうなんだけど。これは受けるも受けないも君の自由だからね」
まあ、それは内容を聞いてから決めるんで。
「うん、その内容っていうのはね、君の世界が壊れた原因の娘たちを助けてあげてほしいんだ」
俺の居た世界が壊れた原因を助けるって、それより娘たちって一人じゃないんですか?
「そうだね、ちなみにその娘たちっていうのは君たちの世界でいう英雄とかのことだよ」
な、なんで英雄って呼ばれた人たちが世界を壊す原因になるんですか?
「解らない」
解らないって、どうして。
「解らないんだよ、だけど英雄って呼ばれた娘たちが悪に堕ちた、そのせいで歴史が悪いほうに変わってしまったんだ」
………俺は何をすればいいんですか?
「受けてくれるのかい?」
その娘たちを助ければ、俺の居た世界は元に戻るんですよね?
「いいや、進んでしまった時間は戻らない」
で、でも俺たちの世界崩壊の原因も歴史が変わったからなんですよね?そしたらどうして。
「ゲームには上書きセーブとか存在するよね?それと同じさ、歴史が変わることができたのはセーブをしていなかったから、だけど世界が壊れて上書きされちゃったからもう変えられない。
だけど英雄達がもう、見るに耐えないから、君に助けて欲しいのさ」
もうあの日々に戻れないと言われ、悲しみがこみあげてくる。だが、おれは思った、英雄たちを助けたいと。
「いいのかい、それは君にとって茨の道かもしれないよ?」
俺に頼むってことは、俺が助けられるってことですよね、俺の手の届く範囲の人くらい、助けてあげたいんです。
「君の居た世界でその考えは偽善だエゴだ言われ続けた、でもその考え方は素晴らしいと僕は思うよ」
神様に言われると照れますね、で、その娘たちを助けるために何をすればいいんですか?
「さぁ?でも、幸せにしてあげられると思うことをしてあげればいいと思うよ」
なんて適当な、まあ、助言ありがとうございました。
「どういたしまして、ん?ああ、そろそろ時間のようだ」
意識が薄れていくのを感じる、神様は優しく俺にこういった。
「それでは
あ、言語の方は心配しなくていいよこっちがなんとかするから、と笑顔で言ってくる神様には、ほんとに頭があがらないなぁ、と思いながら俺の意識は吸い込まれるように消えていった。
気が付くとそこは森の中だった、服は死ぬ直前に着ていた物を身にまとっていた。
がさがさ、と近くの草が揺れ、何かと思い顔を向けると、一人の女の子が出てきた、その子は澱んだように輝きを失った長い金髪、しかし決して汚くはなく、美しいとも見える髪の毛、黒く吸い込まれるような剣と、十字架の真ん中に槍が刺さった絵の描いてある旗を持って出てきた。
そして、倒れた。
「だ、大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄るが返事は無い、見ればところどころ赤くなっている、おそらく血だろう、だが傷口が見当たらないため問題はない…はずだ。
「とりあえずこの子の目が覚めるまでここにいるか」
それより何故この子は血がついているのだろう、目を覚ましたら聞いてみよう。
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