7-想定外の寮生活
そして、僕は3月に家を出た。
最初の1ヶ月は怒涛の日々でやらなきゃいけないことをやるだけで、精一杯だった。僕が転校した高校は私立で、学校も寮もとても規律が厳しかった。5月になると途端にホームシックになった。少し余裕がでてきたからだろう。情けないことに、何度も帰りたいと思ったこともあった。
転校する前はサッカーすることだけを考えていたから、気にしていなかったけど、いざ寮生活が始まると、多くのことで僕は悩んだ。まず、部屋は4人部屋でそこは女子寮だから、すべて女子仕様。洗濯物干すとか話の内容とか部屋のルールとか。まあ、でもサッカーするためだからそこは我慢だなと。でも、なにより耐えがたかったのはお風呂。必ず誰かと一緒になる。というかかなり大勢と。それまでなにがあっても他人に自分の体を見せたことはなかったし、合宿とかになっても、なんとか阻止してきた。でも、ここでは阻止しようがない。
みんな僕のことを女だとみて、そして体もみる。理解しにくいかもしれないけど、僕の中で僕は男。ということは、僕から見たら周りはみんな異性。もちろん恋愛対象にもなる。だから、その一番見られたくない人たちに、一番見られたくないものを晒していることになる。やっぱり恋愛対象になる女子には、僕のことを女だと認識してほしくなかったし、男だと思ってもらいたかった。でも、体を見られればみんなの中で、僕が女であることは変わらなくなってしまう。なにより、1人の男としてみてもらいたかった。だから、苦痛でしょうがなかった。
それともう一つ、よく女子校だからオープンになりすぎる。とかっていう話を聞いたけど、女子寮も激しくオープンでとても、僕が想像していた女子とはちがった。(笑)
女子と生活しているようには思えなくて、そのギャップについていけなくてたじたじだった。
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