5-体育祭、受験、そして卒業・・・


そして、それから中学3年生になれば、男女の区別がかなりあって、生活しづらいことはたくさんあった。


水泳の授業とか、保健の授業とか。席替えやグループわけにしてもそう。なぜかグループを作るとき、学校は必ず男女の組み合わせにしたがる。それに、思春期真最中の僕たちは、誰と誰が付き合ってるとか、あのカップルは別れたらしいから・・・と周りが気を使わなきゃいけなかったりとか。男子は誰かと付き合うことで頭がいっぱいなんだなーと思った覚えがある。

そういう友達をみて、学校での”男女”感じて、僕の心の葛藤は強まるけど、我慢。いつか自分自身を知るために我慢した。

ただ、以前のように周りの女子となじむように生活とはいっても、それまでとは違って、やっぱりかっこいいを求めた。少しでもかっこいいと言ってくれる人がいれば、嬉しかった。


中学最後の体育祭。

僕は小学生のころから、目立ちたがり屋で学級委員長をやってみたり、中学に入ってからもそれは変わらなくて、委員長や応援団などをやった。

うちの学校は男女一人ずつ団長になれたので、もちろん僕は団長になった。

そして、体育祭にむけて、気合を入れていた。髪型は、メンズのベリーショート。今思い出しても楽しかった。本番に近づくにつれて、後輩から声をかけられることが多くなったり、同級生から「うちの組の後輩がかっこいいって言ってたよ」などと言ってもらえるようになった。その年の体育祭はものすごくはりきった。

それからというもの、そんな髪型でみんなの前に立ったからか、僕のことを女として見てる人は少なかったと思う。でも、僕には願ってもないことで、学校生活を送りやすかった。

最近、知ったことがある。中学のときからの腐れ縁が教えてくれた。僕の後ろ姿はまさに男子だったみたいで、授業中、廊下を歩いてるとき、男子がよく後ろから肩を組みにくるけど、それを僕にしそうになったり、ケツパンチしそうになったり、周りの男子はいつも間違えそうになって、内心冷や冷やだったみだいだ。同級生の男子の中あるあるだとか(笑)

実際、そのとき肩を組まれたりしたらびっくりしたとは思う。でも、本当にそう見えていたなら、中学の時の僕は僕として生きられていたんだと思う。


そして、受験シーズンになり僕はサッカーを続けることを中心に考えて高校を決めた。第一志望の高校には女子サッカー部があって、そこに行きたかったけど、学力が足りなかった。最初は推薦で入れるといわれたが、やっぱり枠がなくて無理だと断られて、僕はクラブチームで続ける選択をして、通うのに困らない自宅から一番近い高校に行くことにした。そして、無事合格して卒業を迎えた。


僕が今でも一番楽しかった学生生活はいつかと聞かれたら、中学時代と答える。もちろん、そんな大好きな中学生生活の卒業式は号泣寸前。でも、「人前で泣くのとかかっこ悪い」と思っていた僕は、必死にこらえた。ただ、お世話になった先生の前ではそれも、耐えきれていなかったかもしれない。

そして、僕が小学生の時に抱いた教員になる夢は、このとき出会った先生たちのおかげで、なおその思いは増しそれに向かって進んでいくことを決めた。


中学生になって男女の差を感じることが多くなったけど、それでも友達はなにも言わず、普通にしていてくれた。そりゃ中には“女なのに”とか外見を否定されることもあったけど、それよりそれを受け入れてくれる友達がいたことが、僕がこの中学生活を乗り切れた理由だと思う。そして、いろいろなものとぶつかりながらも支えてくれた人のおかげで、多くのことに挑戦できたし、僕の心の葛藤を忘れさせてくれた。


次に待っている高校生活に不安と希望を持ちながら僕は卒業した。


このとき僕はまだ知る由もなかった。これから、自分の身に起きようとしていることを。

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