第13話 フリースクール本格スタートまで 終章 これからが本番だ1
これが苦労の末に子どもから本音を聞き出すことができたのに聞きそびれたなんて状況だったとしたらと思うとぞっとして体を震わせ、利道は危機感をつのらせた。
(今、この瞬間を大切にしないとな)
それからは彼も気を抜かずに乗りきる。さすがに古奥シューレ理事長や勝切事務局長と違って相談や質問を彼にしてくる親の方達は極端に少なかったが、(経営者として未知数な人物には当たり前)利道の話を評価してくれる人もわかった限りで数名存在していたので彼はその人達から彼の心境としてスリリングだがフリースクールを経営していく事の動力源をもらった気がした。
終章
あの利道にとって特に大変だった見学会は、彼がゲストのお二方にしっかりとお礼を言い終えたところで幕を閉じた。その彼は翌日、自分に対する反省も込めてフリースクール設立場所で自問自答をしていた。
(人前で話すのは苦手だったけど叶えたい夢を実現できたおかげか問題ない感じだったと思える。でも説明の仕方が悪かったせいか説得力に乏しかったかもしれない)
自分の昨日の出来を分析してうなだれている利道は他に別の反省点にも気づき、更にうなだれる。
(もっと野外活動にも力を入れられるとか、子どものやる気には全力で応えるとか伝えられたかもしれない)
つまりはこのフリースクールの立地条件も説明に活用したかったということだ。その立地条件はこんな感じで図書館や植物公園・総合体育館といった一般に開放されている施設がある。
他にも野川や多摩川という自然を教えるのに最適な場所が三十分圏内にあるという好条件だ。そう考えていくと彼は見学会参加の親達に不安感を与えてしまったかもと悔やみながら反省するほかなかった。 だからといっていつまでもクヨクヨしていても仕方がないと利道は思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます