第12話 フリースクール本格スタートまでの軌跡 6

彼なりに精一杯言いたいことをまとめて親の方達に伝えているつもりである。そして、利道は呼吸を整え直してまたもや熱く語りだす。

「イジメられっ子はそんな日常から早く脱出したいとさまざまなサインを出します。大切なのはお子さんの様子の違いを早期発見してお子さんをリラックスさせてから話を聞いてあげるといいでしょう」

 自分自身でも話にまとまりがかけていると理解しているつもりだが、利道は自分の伝えたいことを会場内の親達に伝え、話終えようとしている。


「補足としてイジメを受けたお子さんの対処方法をお教えします。あくまで一つの例ですけど。 子どもが関わって欲しくなさそうなら辛いですが様子を見ることです。後、大切なのは不用意に≪頑張れ≫的な言葉をかけないことです。その励ましは無理して頑張り続けた子どもの大半には逆効果になり得ます。どうしようもなくなった時だけ医者やカウンセラーという専門家に相談してくださることをお奨めします」


 彼は延延と話し続けていたので疲れてきた。それでも伝えたいことは伝えたし、後は見学会に参加中の親の方達に参考にしてもらえればいいと思っている。

 そして利道はゲストの勝切事務局長と古奥シューレ理事長からも許しを得て作成していた今日の話を詳しくまとめてあるプリントを参加中の親達に渡していき、最後の締めくくりをする。

「以上で見学会を終了いたします良ろしければ時間の許す限り質問や悩み相談などを私とゲストのお二人が対応いたしますのでお気軽に!」


 新しいフリースクールを立ち上げて理事長になった利道だが、いつ話しかけられる状況になるかわからないのにこれから先のことを考えてしまっていた。 見学会に参加していた親の方にお礼を言われたとき、我に返って考え事なんかしている場合ではないと思い直す。

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