第2808話:テニコム・チャモン〜波動〜

「ぬぅん!」

 妙な唸り声が聞こえると思い、窓の下を覗き込むと男、先程まで食卓を共にしていた知り合いが手を前に突き出して唸っていた。

「なぁ、あれ何してると思う?」

 誰か何かを知らないかと思い、適当にそのへんを歩いてるやつを捕まえて聞いてみる。

「あぁ、あれは手から波動が出るように特訓しているのさ」

「手から波動? そんなもん出るわけ無いだろ」

「いやいや、こないだ会ったんだよ、波動術士とさ。それを見てかっこいいと思ったのか、自分も手から波動を出したいとああして特訓しているというわけさ」

「なるほどね、無理だと思うがなぁ。あれって誰かに指導を受けてああやって唸ってるわけじゃなくて見様見真似だろ?」

「まぁそうだろうね。懐かしくなっちゃうよね、僕も昔読んだ漫画のマネしてああやって唸ってたことあったな~」

「それって子供の頃の話だろ?」

「もちろんそうさ、今からやるかって言われたら、ちゃんとした師匠の元で修行が必要だってわかるよ」

「まぁそうか、そうだよな」

 それをあいつは一人で唸ってるのか……

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