第2150話:マキタ・サカイ~紫~

「なんか成人するまで覚えてたら死ぬ言葉ってあったよな」

「ああ、なんだっけ。忘れてしまったよ」

「そりゃあもう大人なんだから覚えてたら死んじゃうよ」

「いやいや、確かあの噂は20歳までだろ? 今こっちの世界に来てからまだ13年とちょっとで、聞くところによると5歳ぐらいの年齢でこっちに来るじゃないか。だとすると今はまだ18歳とちょっと。まだあと2年余裕がある」

「でも死ぬ前は45だっただろ」

「関係ないさ。この世界はまた法則が違うだろうし、そもそもこの世界までその言葉の呪いが届かないんじゃないか?」

「まぁそうかもしれないし、ただの噂で実際に死んだって話は聞かない奴じゃん」

「確かに……気にするほどのことじゃないな」

 という話をしていたのだが、突然人に話しかけられる。

「今あなた方が話していたのはもしかして、「*****」ではないですか?」

「んん、確かにそんな感じの言葉だったような……」

「私、それで死にましたよ」

「えぇ!? ホントですかぁ?」

「えぇ、ほんとですよ。20の時に事故で死んだんですが、最後に思い出したんですよ。そう言えば「*****」って言葉を覚えてると死ぬって」

「はぁ、本当に死ぬんですね……」

「てことはあと2年以内に忘れないと俺たちも死ぬってことか?」

「それはどうだろうな……」

「まぁ大丈夫でしょう。ほら、私もうこの世界で30年ぐらい生きてますから」

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