第2110話:キュル・イモン~行方不明~

「おい、見つかったか?」

「いや、どこにもいない。これは自分の意思で出て行ったか、隠れたか……それとも、考えたくないことだが、攫われたか」

「本当に考えたくないな……」

 行方不明になったのは隣に住む少女。

 誰も見ていない隙に姿を消してしまい、近所の人が総出で探しまわる羽目になっている。

 これがもし、さっきも挙げたように自分の意思で隠れたり出ていくなりをしているのであれば大した問題ではないのだが、問題があるのはやはり誘拐だった場合。

 まず疑われるのが我々近隣住民だ。

 少女に警戒されずに近づけて、各々の家はすぐ近くで、誘拐しやすいと言っても良い。

 しかし、我々の家など真っ先にとまではいかなくても、優先順位は高い探索先だったわけでよっぽどの隠し部屋などない限り全て捜索済みだ。

 だから、そのよっぽどのよっぽどの隠し部屋探しパートへと捜索は移行しようとしているのだが……

「一度少女の家をちゃんと確認した方が良いのでは?」

 と誰かが提案した。

 そういえば、少女の家の捜索が軽くで終わってしまっていたような気がする。

 全員思っていたのかもしれない、少女が住む家に皆で侵入して漁りつつ探し回るのは良くない気がすると。

 結果、普通に家に戻っている少女が出てきたのだが、では一人で暮らしている少女の捜索願は誰が出したのか、この捜索劇には謎が多い。

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