第2094話:シービー・ルリイロ~辻の神~
「こんにちは神様!」「おはようございます神様!」「今日も元気そうで何よりです神様!」
今朝もいつもの交差点で皆に挨拶をされる。
無言だがにこりと笑って挨拶を返してその場を去る。
神様と呼ばれてはいるが私は神様ではない、この交差点を通りかかるときに誰がどういう理由で言い出したのかはわからないが、私のことを神様と呼ぶようになったのだ。
まぁ別に悪い気はしないし、何かを求められるような事もないから呼ばせたいようにしている。
ただ毎日同じ道を通っているだけで神様とは、なかなか不思議なものだ。
「あの、すみません……」
ある日、例の交差点からは少し離れた場所にある公園で知り合い未満程度には見かけたことがある人に話しかけられた。
あの交差点ではいつも見かける人。
「実はあなたが神様と呼ばれているのは僕が原因なんです……」
そうなのか、この人が私のことを神様と呼んでいるのは見たことが無いが。
「だいぶ前の話なんですが、友達に神様を見たことがあるという話をしてしまって、あなたをその神様だってことにしてしまったんです」
なるほど、子供の間ではたまにあることだ。見栄を張って嘘を吐いたり。
「そしたら友達がふざけてあなたに直接神様って呼び掛けて、でもあなたはそれを否定しずに手を振り返してくれたから……周りもだんだんあなたが神様と呼び始めてしまって……」
別にそれは構わない。悪い気はしていないんだ。
「もしかしたらもう知ってるかと思うんですけど、実は裏の方であなたを軸とした宗教団体が立ち上がってて……」
それは知らない話だ。
「そろそろちゃんと謝っておかないといけないと思って、こうやって告白しに来たんです……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます