第2087話:アラメ・フィルス~島~
この島で暮らしてきてしばらくが経った。
いつの間にかここにいて、暦の数え方はわからないけど暑い時期を10回ぐらい過ごした。
この島の人は皆親切で、身元も言葉も分からない私のことも快く受け入れて助けてくれたんだ。
しかし、どこか常に外部の者という意識があったので、十分に文化を学んだので村の限りある資源を浪費しないよう島の外へ出ることにした。
船を作ったのだが、島で得た知識からではない、おそらく記憶を失う前に持っていた知識からだろう。
島で使われている船では島近海の航行はできても、外洋に出るには少し心許なかったかからだ。
そして出発の日、島の皆が見送ってくれたので外の世界を見て戻ってくることを誓
い、海へ出た。
広い海の中でこの島の方角を見つける方法がなさそうなので、本当に戻ってこられるのかはわからない。
最悪海の藻屑か、再び記憶を失ってあの島に戻ることになる。
どちらも今の俺にとっては同じことだが、たぶん島の人たちにとっては記憶を失ってあの島に流れ着く方が悲惨であろう。
必ず、外の世界、他の大地にたどり着きたい。
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