第2088話:テシロ・キビシマ〜あだ名〜

 毎日の通勤の際に通る道、植え込みの縁にいつも座っている人がいる。

 その人のことはあの道を通る人なら皆知っており、うちの職場では呟く人ポルチュニムというあだ名で呼ばれている。

 それもその人が誰か通る度に何かを呟いているのだ。

 意味があるのかわからないそれは通り過ぎる個々の人に対応しているようで、おそらくはあだ名だろうと噂されている。

 私に当てられているのは意味もわからないし何語なのかもわからない。

 雰囲気だけで無い単語を捏造して音を組み合わせてるだけなんじゃないかとも言われているが、それだと一度名付けたあと忘れないことは難しいんじゃないかと思う。

 あだ名なんて意味と人を結びつけて覚えるようなものだし、呟く人も呟いてなかったら座る人とか最初からあだ名をつけてるってわかってたら名づけとかそんな意味をあだ名として充てがっていただろう。

 だから、彼も何かの意味のあるあだ名で通行人にタグ付けしているはずなのだ。

 だとしたら、私に当てられたプロウスルという名はどういう意味があるのだろう。

 ポジティブな意味だといいのだけども、もしなにかひどい悪口だと非常にショックなので調べるということはしない。

 おそらく、みんなそうしているので誰も自身に付けたれたあだ名の意味を知らないのだ。

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