第2068話:ビラ・ストルト~壊れた~

「うーん、これここに来た時点でこうだったんだよね?」

 その日問題になったのは運ばれてきた時点でまるで誰かに叩き潰されたかのように破壊された機械。

「もちろんです! あの運送会社これから使うのやめましょうよ」

「まぁいつもは問題ないからなぁ……この壊れ方を見ると事故って言う感じでもなさそうだ。箱は損傷ないし、箱に入れた時点でこうだったか、箱から出してから壊したか……」

 そう言ってちらりと横目でこの荷物を受け取った奴の方を見る。

「な、まさか私を疑っているんですか!? やってませんよ、私はこんな、だってこの機械の価値はわかっていますし、それは社長もわかってますよね!?」

「ああ、可能性のひとつとしてはあるってだけの話だよ。疑っちゃあいないさ」

「本当ですよね……?」

「ああ、もちろんさ。まぁ、君ももう戻りなさい」

「ええ、本当に私は疑ってないんですよね?」

「大丈夫だって、戻りたまえよ」

「はい……」

 そう言って戻っていった。

「さて、どうするかな……」

 目の前にある壊れた機械。

 これは発注した段階で壊れていたものだ。

 できれば必要な機械だったが、どうしても高価すぎて買えず、もしかしたら自分で修理できるかもしれないとこのほぼタダ同然だったジャンク品を買ってみたんだ。

 みんなには見栄を張って壊れた物を買ったとは言ってないから、びっくりさせてしまったな……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る