第2051話:ライバ・モーニン~カラクリ屋敷~
「ようこそ我がカラクリ屋敷へ!」
「何かすごい歯車とかがありますね……」
「ああ、仕掛けの力を伝達するのに使う歯車さ。常に回っているのは動力から常に力を得ているからでね仕掛け側のスイッチで切り替えをして動かした方がまぁ都合がいいからなんだ。けっしてカラクリっぽさを演出するためじゃないよ?」
「いやまぁ別にそんなところ疑っちゃあいないですが」
「そうかい?」
「ええ、すごい仕掛けだと思います。歯車の組み合わせとその辺にある紐とかのスイッチでいろいろな仕掛けが動くのでしょう? すごいと思いますよ、僕みたいな男の子はこういうのめっちゃ好きですよ」
「おお、君はわかる口かい? わかる口なのかい?」
「えぇ、まぁ。機械の方はあんまりわからないですけど、ああいう歯車がたくさん連なってぐるぐるしているのは見ているだけでかっこいいなとなります」
「そうだろうそうだろう。こういのは機能性よりも見た目でカッコ良ければよいのだ」
「もしかして機能性、良くないんですか?」
「何を言う。機能性もばっちりだ。このように」
足元のボタンを踏み込むと歯車が動いた音がして天井が開きボールが落ちてきて僕の頭に当たった。
「あいたたた、すごい、こんな風に相手を攻撃することができるんですね」
「まぁな、ここはカラクリのサンプルが展示されているから安全ボールが仕込まれているが、実際に運用する場合は用途に合わせた物を仕込むことも可能だ」
「でもこの罠の組み合わせをちゃんと把握して適切に使うのは難しそうですね……」
「いや、まぁ実際のところはそんなに難しくはない……がこれに関しては先ほど言ってもらった機能性の話について言いよどんだことに踏み込むことになる。聞きたいかい?」
「ええまぁ」
「実はあの歯車とかの類やこの足元のボタンは全てダミーでね、本当はこの手に隠したリモコンで操作してるんだ」
「えぇ……」
「やはりあのような大きな歯車を噛ましての動力伝達は非合理的で、非効率的だし、細やかなコントロールはできない。だから内部動力を組み込むことで自由に扱えるようになるのだ」
「だったらもういっそのこと完全に隠してしまうというのは?」
「そういう風に導入されているところもある。しかし、このカラクリぽさの演出には多少意味があるのさ」
「どういう?」
「ローテクらしさを演出すると侵入者は油断するというところだな。あとはあのでかい歯車は飾りとはいえ結構なトルクで動いているから、巻き込まれると怪我をする」
「はぁ……」
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