第2049話:フィリー・リシャード~コアラ~

「毒の木の葉を好んで食す緩慢な動きの獣がいるという話があってな」

「その生物はその毒を分解できるのでしょう。毒持ちの植物というのはそういう生物と共存して種子を拡散するものですしね」

「いや、その獣は特にその毒に耐性があるわけではないらしい。動きが緩慢なのは毒の成分によるものだ」

「えぇ……他の木に行けばいいのに。そこまで拘りの木と添い遂げる不思議な獣なんですね……。木も殺さない程度の毒で動きを鈍らせて離さないんだ」

「いや、木の方は可燃性ガスを出して山火事を起こし、て他の森ごとその獣を排除しにかかる。自身は耐火性能にすぐれる樹皮を持っているため平気なのだが」

「やっば、最初は毒の木に付く獣がヤバいなぁって思ったけど、木も木だなぁ……、何をどうしたらそんな恣意的な進化をするんだろう」

「ここでさらに進化した獣が現れた世界も存在する。耐火性能を持った獣だ。相変わらず毒を持つその木の葉を食うし、山火事は起きるが、耐火性能を持ったその獣は気にすることなく葉を食べる」

「何がどうそこまでさせるんだ……」

「さらに発展した世界では火事で一時的に葉だけ焼けるように進化した木と耐火性を上げるためにはがれるようになった樹皮を食う獣がいる」

「何そのイタチごっこって……」

「まぁその獣はイタチではないんだがな」

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