第2043話:レイディ・ルブル~蛇口~
「なんだこれ?」
「蛇口だな、上にあるバルブをひねれば水が出るものだが……なんでこんな場所にあるんだろうな」
ここは平原のど真ん中、近くに町も見えない場所で水道が整備されてることなんてないだろうと思うが、何の蛇口だこれは。
「ひねってみるか?」
「まぁ、何も出ないとは思うけど、もしどこかに繋がってたらいきなり錆が流れ出てきたりすると思うから後ろに下がりながら回した方がいいぞ」
「何が出てくるかわからないもんな、いくぞ!」
「いや、待てこういうの昔何かで聞いたことがある。こういう絶対におかしい場所にあるなんかが出る物は魔人が封印されていてなにかが起きるとされているのだ。願いを叶えてもらったり、世界が滅んだり」
「起こりうる2択が究極過ぎる……」
「まぁ、願いが叶えてもらえることもあるし、回してみたらいいんじゃないか。話に残ってる限りだと世界が滅びるよりも願いを叶えてもらった方が多いんだぜ」
「そりゃ世界が滅びた話は残らないからだろ……」
「さぁ力いっぱい回してみようぜ!」
「まぁ、やってみるか……さすがにこの世界なら滅ばないだろ」
「多分右回りだ、たぶん固く締まってるだろうから一気に回してみろよ」
「せーのっと」
おそるおそる回されたその蛇口のバルブはベキッと音を立てて折れてしまった。
「まぁこんなところにずっと放置されていたら折れもするか……」
「すごい錆びてたな……。何の蛇口だったんだ……」
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