第2008話:チトルファ~再生肉~
「知ってるか? タコっていうのは脚が何度でも再生するのだが、自分で食べた脚は再生しないんだ」
「ふーん、知らないけど、なんで今そんな話をするんだ?」
彼は肉を頬張りながらどうでも良さそうに答えた。
「そりゃあお前、今まさに自分で自分の脚を食ってる奴が目の前にいるもんだから気になったんだよ。その脚、再生するのか?」
「するさ、俺はタコじゃない。どうだ、お前も食うか?」
「ああ仕方ない、いただくよ。俺は食わないと死ぬからな。というかその食ったエネルギーと生えてくるエネルギーを考えたらお前自分の肉を食う意味ってあるのか?」
「食べたエネルギーは全部吸収できるわけじゃないから自分の肉を食べ続けたりすると涸れて死ぬかもしれんな」
「じゃあなんでこんな時にわざわざ自分で食ってんだよ! こんな状況なんだから俺にだけ食わせてくれればいいだろ」
「いいやそれもダメなんだな、俺も食わねば腹が減る。腹が減れば俺も死ぬ。再生能力があるとは言ってもエネルギーの追加は常に必要なんだよ」
「ふーん、まぁさすがに今お前にしなれたら困る。あとどんぐらい大丈夫なんだ?」
「あと数回切って生やすと歩くことができなくなるぐらいに細くなってしまうかもしれん」
「歩けなくなったらさすがに置いていくよ。何とか人里まで出られるといいが……」
飛行機が落ちて4日、生き残ったのは肉体の再生能力がある彼と、運がよかった俺だけ。
彼が自分の脚を切ってそれを食べることでなんとか繋いでいるのが現状だ。
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