第2005話:リュービン・リゲッター~絡め手~

「うおー! 何も出来ねぇ!」

「戦術戦略の真髄は戦わずして勝つこと、相手を傷付けての勝利はもし相手を配下に収めた時に性能が下がってしまうかもしれないだろう?」

「まるで負けた奴が皆お前の配下に収まるみたいな言い草じゃないか」

「ああ、大抵はそうなる。単純な力の差は再度ぶつかったときに鍛え直し方次第ではひっくり返ることがよくあるが、戦術戦略での完全敗北はよっぽど努力ではひっくり返らないことが多い。君が戦略を0から学んでいるうちに私は新たな戦略を学び考え実戦で試している。稀代の天才でも無ければ追いつくことなど不可能だ。まぁ、稀代の天才の片鱗でもあるなら、今この時点で単純な力で向かってくるなどしていないから君が私に勝てる可能性は0ということになるな。ここまでが君が私には未来永劫一度として勝つことができない説明なのだが、ここからが提案だ。動きを見れば君がどれだけの修練を積み技術を身に着けていてもしこれがただの一対一の直接戦闘であればどれだけ強いかはわかる、君が最も力を発揮しやすい環境であれば誰にも負けないという自信はあるかい? そうであるならば、私のところへ来たまえ、そうすれば君に足りない戦略や戦術という物を私が補ってあげよう」

「……なるほどな、そういう甘言でいろんな奴を引き込んでたってことか」

「まぁそういうことさ」

「戦略戦術で補うってのは、さっき俺にやったみたいな搦め手で相手を無力化した上え俺をぶつけるってことか?」

「いやいや、そんなことはしないさ。もしそんなことをするなら君のような強者をわざわざ引き入れる必要が無い、それこそ一山いくらの奴らでいい。私がするのはただ今日みたいに君が騙されて力を発揮できなくなる状況にしないぐらいのことかな。だから優秀な戦術家の私の配下になったからと言って鍛錬はおろそかにしないでくれよ? ま、うちのメンバーとならいつでも手合わせできるようになるし、その点は心配いらないかな?」

「なるほど、それならば……」

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