第2003話:キャン・リャー〜消える川〜

 川が消えた。

 昨日までは確かにここには川が流れていたはずだった。

 今ここに有るのは川があった跡、不自然にどこまでも伸びていくへこみとその中にだけにしかない角が取れた大量の石。

 ここに川がったのはその辺りから見て取れるのだが、水気が一切感じ取れない。

「まるで何年も前に涸れてしまったかのような……」

「ここに有った川の話ですか?」

「うわあっ! 何です?」

「涸れてしまったって、ここに有った川の話でしょう?」

「あ、ああ、ええまぁ」

「たまに消えるんですよここの川、原因はよくわからないんですけど、今回は昨夜に突然水が上から来なくなったのと同時に通常の川の流れとは思えない速度で水が引いていって、夜明けにはこのありさまだったわけ」

「なるほど、季節ものなんですか」

「うーん、季節もの……なのかなぁ。不定期だし、別の季節でも起きるんだよなぁ……」

「あなたは知っているわけではない?」

「何にも原因に心当たりなんかないんだ」

「この川の上流は?」

「この川の上流は行けないんだ、途中で下流から戻ってきちゃう」

「つまり空間がおかしくなって川が輪っかになってるってこと?」

「あー、なるほどね。上と下が繋がってるんだ。ということは……消えた水はどこへ……?」

「さぁ……?」

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