第1974話:クロギ・バウニン~自分との戦い~

「この洞窟の中には自分と戦うことができるという噂があってな。経験者を見つけることができなかったから真偽や詳細はわからないんだが……試してみる価値はあると思ってな。どうだろうか?」

「なるほどな、しかし自分と戦うっていうのはどういうことなんだ? 自分と同じ強さの何かが現れて戦うってことなのか?」

「それも全然わからんのだよね。わかるのは一人で入るってことぐらいか」

「一人で入るのに何で俺連れてきちゃったんだ」

「万が一私が私に負けて出てこれなかったときのために外で待ってもらおうと思ってな」

「なるほどね。結果次第では俺も挑戦してみようかな」

「うむ、そうするといい。では、待っていてくれ。そうだな、二時間ぐらい待って出てこなかったら諦めて帰ってくれていい」

「助けに入る必要はないのか?」

「まぁ、中がどうなっているかはわからないからな。君を道連れにするわけにもいかないからな。じゃ、また後で」

 そう言って彼女は洞窟に入っていってしまった。

 待っている間も暇だから自分との戦いを想像する。

 相手が自分だから、自分ならどう攻めて来るかとかを考えて動きを想定する。

 ん、でも向こうもこっちの動きを想定できるわけだから……

 んん? これ決着がつかなくないか?

 自分と自分で力量は同じなんだから……

 決着が着かなくないか?

 着くにしても、二時間程度で何とかなるとは思えないような……

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